2022年6月にElsa Bernardらによって開発・発表された骨髄異形成症候群 (MDS) 患者のための予後予測スコアリングシステムである¹⁾。 従来の🔢IPSS-Rが血液学的パラメータと細胞遺伝学的異常のみを評価していたのに対し、 IPSS-Mはこれらに加えて31の遺伝子の体細胞変異を考慮し、 より精度の高いリスク層別化を実現した。
IPSS-M=1.15467 + Σ(wⱼ × xⱼ )/log2
ここで、 wⱼは各変数の重み付け係数、 xⱼは患者個別の測定値である。 具体的な変数は、 骨髄中の芽球割合、 ヘモグロビン濃度、 血小板数、 IPSS-R細胞遺伝学リスク分類、 さらに31遺伝子の変異の有無を含む。
≦-1.5: Very Low risk
>-1.5~≦-0.5: Low risk
>-0.5~≦-0: Moderate Low risk
>0~≦0.5: Moderate High risk
>0.5~≦1.5: High risk
>1.5: Very High risk
IPSS-Mは、 2957名の患者を対象にした国際多施設共同研究で開発された。 遺伝子変異を加味することにより、 従来のIPSS-Rと比較して46%の患者でリスクカテゴリーが変更され、 予後予測の精度が有意に向上した。 特にTP53のmultihit、 FLT3変異、 MLLPTDは予後不良と関連し、 SF3B1変異は一般的に良好な予後と関連していたが、 他の遺伝子変異の共変異パターンによって修飾されることが明らかになった¹⁾。
MDSは多様な疾患の総称であり、 単一の病型分類だけでは予後を十分に評価できないとされる。 そこで骨髄芽球割合、 血球減少の系統数、 染色体核型など複数の因子を組み合わせる予後予測スコアリングが用いられる。
代表的なものとしてIPSSがあり、 これは3因子を点数化し4群に層別化するシステムである。
その改訂版であるIPSS-Rはより大規模なデータ解析 (7,000例以上) を基盤に、 因子の取扱いを詳細化して5群に分類し、 外部検証においても優れた予後予測能を示すことが報告されている。
🔢WPSS
さらにWHO分類や輸血依存性を組み込んだWPSSも提案されている。 しかし、 現在はWHO分類 (2017) が既に出ており、 WPSSは十分な利用がなされていない。
「Q. MDSの予後予測法、 リスク分類として勧められるのは何か」 という問いに対して、 以下のような推奨となっている (カテゴリー2A)
予後予測スコアの使用が勧められる。 特に多くの外部検証においてIPSS-Rが優れていることが示されており、 IPSS-Rが最も広く用いられている。
ガイドラインでは多くの検証で精度が高いと確認されたIPSS-Rが最も広く推奨されている。 特にNCCNガイドラインではIPSS-Rのリスクスコア3.5を境に低リスクと高リスクを区分する方法が推奨され、 日本人においてもIPSS-Rをもとにした層別化が一般的である。 ただし患者背景や治療状況による差異もあるため、 実臨床では併存疾患や遺伝子変異などを含めた総合的な評価が重要となる。
🔢WPSS
2) 日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版 (2024年版). 金原出版. 2024
最終更新日 : 2025年4月1日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
2022年6月にElsa Bernardらによって開発・発表された骨髄異形成症候群 (MDS) 患者のための予後予測スコアリングシステムである¹⁾。 従来の🔢IPSS-Rが血液学的パラメータと細胞遺伝学的異常のみを評価していたのに対し、 IPSS-Mはこれらに加えて31の遺伝子の体細胞変異を考慮し、 より精度の高いリスク層別化を実現した。
IPSS-M=1.15467 + Σ(wⱼ × xⱼ )/log2
ここで、 wⱼは各変数の重み付け係数、 xⱼは患者個別の測定値である。 具体的な変数は、 骨髄中の芽球割合、 ヘモグロビン濃度、 血小板数、 IPSS-R細胞遺伝学リスク分類、 さらに31遺伝子の変異の有無を含む。
≦-1.5: Very Low risk
>-1.5~≦-0.5: Low risk
>-0.5~≦-0: Moderate Low risk
>0~≦0.5: Moderate High risk
>0.5~≦1.5: High risk
>1.5: Very High risk
IPSS-Mは、 2957名の患者を対象にした国際多施設共同研究で開発された。 遺伝子変異を加味することにより、 従来のIPSS-Rと比較して46%の患者でリスクカテゴリーが変更され、 予後予測の精度が有意に向上した。 特にTP53のmultihit、 FLT3変異、 MLLPTDは予後不良と関連し、 SF3B1変異は一般的に良好な予後と関連していたが、 他の遺伝子変異の共変異パターンによって修飾されることが明らかになった¹⁾。
MDSは多様な疾患の総称であり、 単一の病型分類だけでは予後を十分に評価できないとされる。 そこで骨髄芽球割合、 血球減少の系統数、 染色体核型など複数の因子を組み合わせる予後予測スコアリングが用いられる。
代表的なものとしてIPSSがあり、 これは3因子を点数化し4群に層別化するシステムである。
その改訂版であるIPSS-Rはより大規模なデータ解析 (7,000例以上) を基盤に、 因子の取扱いを詳細化して5群に分類し、 外部検証においても優れた予後予測能を示すことが報告されている。
🔢WPSS
さらにWHO分類や輸血依存性を組み込んだWPSSも提案されている。 しかし、 現在はWHO分類 (2017) が既に出ており、 WPSSは十分な利用がなされていない。
「Q. MDSの予後予測法、 リスク分類として勧められるのは何か」 という問いに対して、 以下のような推奨となっている (カテゴリー2A)
予後予測スコアの使用が勧められる。 特に多くの外部検証においてIPSS-Rが優れていることが示されており、 IPSS-Rが最も広く用いられている。
ガイドラインでは多くの検証で精度が高いと確認されたIPSS-Rが最も広く推奨されている。 特にNCCNガイドラインではIPSS-Rのリスクスコア3.5を境に低リスクと高リスクを区分する方法が推奨され、 日本人においてもIPSS-Rをもとにした層別化が一般的である。 ただし患者背景や治療状況による差異もあるため、 実臨床では併存疾患や遺伝子変異などを含めた総合的な評価が重要となる。
🔢WPSS
2) 日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版 (2024年版). 金原出版. 2024
最終更新日 : 2025年4月1日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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