概要
計算
監修医師

PASとは?

Pediatric Appendicitis Score (PAS) は、小児の虫垂炎を評価するための臨床スコアである。 このツールは、2002年にSamuelらによって開発された¹⁾。 PASは、小児の虫垂炎の疑いがある場合に、救急外来で迅速かつ正確に評価するために利用される。

評価と計算方法¹⁾

PASは以下の8項目から構成されており、それぞれに点数が割り当てられる。

  1. 38℃以上の発熱 +1点
  2. 食思不振 +1点
  3. 悪心・嘔吐 +1点
  4. 咳嗽、打診、跳躍時の右下腹部痛 +2点
  5. 右下腹部の圧痛 +2点
  6. 疼痛部位の移動 +1点
  7. 白血球>10,000/μL +1点
  8. 多核好中球数>7,500/μL +1点

スコアの解釈とマネジメント²⁾³⁾

  • ≦3点:虫垂炎の可能性が低い
  • ≧7点:虫垂炎の可能性が高く、手術検討
  • 3~6点:経過観察やエコー、CTなどの追加

エビデンス

原著論文とその後のvalidation

4~15歳の1,170名の小児を前向きに評価し開発された¹⁾。  その後、 1~17歳の849名の小児を対象として、 再度前向きな検証が行われた²⁾。

診断アルゴリズムとCT利用率の減少

その後、2016年にGoldmanらによって、診断アルゴリズムを導入することで小児の虫垂炎の診断におけるCT利用率の減少が報告された³⁾。 

アルゴリズムの感度 98.6%、 特異度は 94.4%で、 CT利用率は75.4%から24.2% に減少した。

本邦ガイドラインの推奨

日本小児救急医学会『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017』では、 PAS (Pediatric Appendicitis Score)Alvarado/MANTRELSスコアの利用の有用性について記載されている (推奨度C1)。

【引用】小児に使用されるスコアリングは、AlvaradoScoreとPediatric AppendicitisScoreが代表的である。スコアリングは症状の評価として有用であるが、正診率が低く虫垂炎の診断に用いることは困難である。初期診療でスコアリングを用いることは、虫垂炎疑診例を帰宅させるための評価として有用であり、画像検査など二次評価を開始する際のスクリーニングに使用することが適切である。(推奨度C1)
Pediatrics Appendicitis score  (PAS)
ガイドラインの記載をもとに監修医が作図

使用上の注意点

PASは、 小児の虫垂炎の評価において有用であるが、 他の診断法と併用して最終的な診断を行うことが重要である。 スコアが3~6点の場合、 観察や超音波検査、 CTなどの追加検査が必要であることに注意する。

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|急性虫垂炎

🚑 ERマニュアル|腹痛

🔢 成人虫垂炎スコア (AAS)

🔢 Alvarado/MANTRELSスコア

🔢 PAS (Pediatric Appendicitis Score)

参考文献

1) Pediatric appendicitis score. J Pediatr Surg. 2002 Jun;37(6):877-81. PMID: 12037754

2) Prospective validation of the pediatric appendicitis score. J Pediatr. 2008 Aug;153(2):278-82. PMID: 18534219

3) Computed Tomography Utilization for the Diagnosis of Acute Appendicitis in Children Decreases With a Diagnostic Algorithm. Ann Surg. 2016 Sep;264(3):474-81. PMID: 27433918

4) 日本小児救急医学会『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017』

最終更新:2023年4月23日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

Pediatrics Appendicitis score (PAS)
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こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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小児急性虫垂炎の診断予測
2023年11月26日更新
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PASとは?

Pediatric Appendicitis Score (PAS) は、小児の虫垂炎を評価するための臨床スコアである。 このツールは、2002年にSamuelらによって開発された¹⁾。 PASは、小児の虫垂炎の疑いがある場合に、救急外来で迅速かつ正確に評価するために利用される。

評価と計算方法¹⁾

PASは以下の8項目から構成されており、それぞれに点数が割り当てられる。

  1. 38℃以上の発熱 +1点
  2. 食思不振 +1点
  3. 悪心・嘔吐 +1点
  4. 咳嗽、打診、跳躍時の右下腹部痛 +2点
  5. 右下腹部の圧痛 +2点
  6. 疼痛部位の移動 +1点
  7. 白血球>10,000/μL +1点
  8. 多核好中球数>7,500/μL +1点

スコアの解釈とマネジメント²⁾³⁾

  • ≦3点:虫垂炎の可能性が低い
  • ≧7点:虫垂炎の可能性が高く、手術検討
  • 3~6点:経過観察やエコー、CTなどの追加

エビデンス

原著論文とその後のvalidation

4~15歳の1,170名の小児を前向きに評価し開発された¹⁾。  その後、 1~17歳の849名の小児を対象として、 再度前向きな検証が行われた²⁾。

診断アルゴリズムとCT利用率の減少

その後、2016年にGoldmanらによって、診断アルゴリズムを導入することで小児の虫垂炎の診断におけるCT利用率の減少が報告された³⁾。 

アルゴリズムの感度 98.6%、 特異度は 94.4%で、 CT利用率は75.4%から24.2% に減少した。

本邦ガイドラインの推奨

日本小児救急医学会『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017』では、 PAS (Pediatric Appendicitis Score)Alvarado/MANTRELSスコアの利用の有用性について記載されている (推奨度C1)。

【引用】小児に使用されるスコアリングは、AlvaradoScoreとPediatric AppendicitisScoreが代表的である。スコアリングは症状の評価として有用であるが、正診率が低く虫垂炎の診断に用いることは困難である。初期診療でスコアリングを用いることは、虫垂炎疑診例を帰宅させるための評価として有用であり、画像検査など二次評価を開始する際のスクリーニングに使用することが適切である。(推奨度C1)
Pediatrics Appendicitis score  (PAS)
ガイドラインの記載をもとに監修医が作図

使用上の注意点

PASは、 小児の虫垂炎の評価において有用であるが、 他の診断法と併用して最終的な診断を行うことが重要である。 スコアが3~6点の場合、 観察や超音波検査、 CTなどの追加検査が必要であることに注意する。

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🔢 Alvarado/MANTRELSスコア

🔢 PAS (Pediatric Appendicitis Score)

参考文献

1) Pediatric appendicitis score. J Pediatr Surg. 2002 Jun;37(6):877-81. PMID: 12037754

2) Prospective validation of the pediatric appendicitis score. J Pediatr. 2008 Aug;153(2):278-82. PMID: 18534219

3) Computed Tomography Utilization for the Diagnosis of Acute Appendicitis in Children Decreases With a Diagnostic Algorithm. Ann Surg. 2016 Sep;264(3):474-81. PMID: 27433918

4) 日本小児救急医学会『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017』

最終更新:2023年4月23日
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