概要
計算
監修医師

COPD増悪時のPSL個別化用量

中国にて、 COPD急性増悪時のステロイド用量の個別化のために、 Anthonisen基準、 COPD Assessment Test Score、 以前のPSL使用量、 炎症マーカー、 血液ガス所見の計5項目を用いた投与量スケールが開発された¹⁾。

計算方法

用量 (mg/日) = 0.5mg ×体重kg × (1+合計点)
 ※ただし、 最高用量は2.5×体重mg/日

Anthonisen分類*

Ⅰ型 -1点

Ⅱ型 -0.5点

Ⅲ型 0点

呼吸困難の増強、 喀痰量の増加、 喀痰膿性度の増加の3つ全てがあるものがI型、 2つあるものがII型、 1つしかないものがIII型

CATスコア (COPD Assessment Test)

<10  0点

10~20 +0.5点

21~30 +1点

>30 +1.5点

プレドニゾロン使用歴 (過去の増悪時)

<40mg/日 0点

40~80mg/日 +0.5点

>80mg/日 +1点

炎症性マーカー

CRP >7mg/L +0.5点

末梢好酸球比率 >2% +0.5点

血液ガス分析

pH≦7.35 あるいはPaCO₂>45Torr +0.5点

エビデンス

Personalized Variable vs Fixed-Dose Systemic Corticosteroid Therapy in Hospitalized Patients With Acute Exacerbations of COPD: A Prospective, Multicenter, Randomized, Open-Label Clinical Trial. Chest. 2021 Nov;160(5):1660-1669. PMID: 34023318

研究デザイン

  • 中国の4つの基幹病院にて実施されたRCTで、 対象はCOPD急性増悪で入院した40歳以上の患者.
  • 5日間のステロイド全身投与を行う際に1:1で以下の2群に割り付けた.
  • 固定用量群(PSL 40mg/日相当)
  • 個別化用量群 (開発された投与スケールをもとに用量決定)
  • 主要評価項目は複合的な治療の失敗 (入院中の治療失敗 (機械換気、 ステロイド・アミオフィリンの追加・抗菌薬のエスカレーション)、 退院後の治療失敗 (180日以内の死亡または再入院))、 副次評価項目は入院期間、 医療費とした.

研究結果

  • 固定用量群、 個別化用量群にそれぞれ124人、 計248人が割り付けられた.
  • 治療失敗は、 固定用量群 48.8%、 個別化用量群 27.6%で、 相対リスク比 0.40 (95% CI, 0.24-0.68 ; P=0.001)で有意差がみられた.
  • 入院中の治療失敗は、 個別化用量群で有意に少なかった(10.6% vs 24.4% ; P=0.005)
  • 中期的な治療失敗、 有害事象、 入院期間と医療費に関しては、 2群間の有意差はみられなかった.
  • 治療に失敗した場合でも、 個別化投与群では固定用量群と比較して、 病勢のコントロールのために追加投与されたステロイドの量や期間はより少なかった. 個別化投与群のうち、 PSL 40mg/日相当量以下の投与を受けた患者で44.4%の治療失敗があったのに対し、 それより多い投与を受けた患者の治療失敗は22.9%にとどまった(P = .027).

使用上の注意

  • 本スコアのvalidationは不十分である.
  • 本研究の治療効果の差が個別化によるものか、 高用量によるものか不明 (個別化をしたとしても、結局PSL40mg/日相当量以下の投与患者では、 固定用量群ほぼ変わらない結果となっており、 60mg/日相当量を超える投与患者では治療失敗率が低下している)

参考文献

  1. Personalized Variable vs Fixed-Dose Systemic Corticosteroid Therapy in Hospitalized Patients With Acute Exacerbations of COPD: A Prospective, Multicenter, Randomized, Open-Label Clinical Trial. Chest. 2021 Nov;160(5):1660-1669. PMID: 34023318

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🔢COPDの病期分類 (GOLD分類)

🔢BODE指数 (COPDの生存期間予測)

🔢BAP-65スコア (増悪時の死亡予測)

🔢DECAFスコア (増悪時の死亡予測)

📘ACO 診断と治療の手引き2018

📘NPPVガイドライン 改訂第2版

📘COPD診断・治療のためのガイドライン2022

📙専門医解説:COPD急性増悪 (日赤医療センター 久世眞之先生)

最終更新日:2023年2月9日
監修:HOKUTO編集部医師

COPD増悪時のPSL個別化用量
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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COPD増悪時のPSL個別化用量
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COPD増悪時のPSL個別化用量

プレドニゾロン個別化用量の推算式
2023年10月22日更新
概要
計算

COPD増悪時のPSL個別化用量

中国にて、 COPD急性増悪時のステロイド用量の個別化のために、 Anthonisen基準、 COPD Assessment Test Score、 以前のPSL使用量、 炎症マーカー、 血液ガス所見の計5項目を用いた投与量スケールが開発された¹⁾。

計算方法

用量 (mg/日) = 0.5mg ×体重kg × (1+合計点)
 ※ただし、 最高用量は2.5×体重mg/日

Anthonisen分類*

Ⅰ型 -1点

Ⅱ型 -0.5点

Ⅲ型 0点

呼吸困難の増強、 喀痰量の増加、 喀痰膿性度の増加の3つ全てがあるものがI型、 2つあるものがII型、 1つしかないものがIII型

CATスコア (COPD Assessment Test)

<10  0点

10~20 +0.5点

21~30 +1点

>30 +1.5点

プレドニゾロン使用歴 (過去の増悪時)

<40mg/日 0点

40~80mg/日 +0.5点

>80mg/日 +1点

炎症性マーカー

CRP >7mg/L +0.5点

末梢好酸球比率 >2% +0.5点

血液ガス分析

pH≦7.35 あるいはPaCO₂>45Torr +0.5点

エビデンス

Personalized Variable vs Fixed-Dose Systemic Corticosteroid Therapy in Hospitalized Patients With Acute Exacerbations of COPD: A Prospective, Multicenter, Randomized, Open-Label Clinical Trial. Chest. 2021 Nov;160(5):1660-1669. PMID: 34023318

研究デザイン

  • 中国の4つの基幹病院にて実施されたRCTで、 対象はCOPD急性増悪で入院した40歳以上の患者.
  • 5日間のステロイド全身投与を行う際に1:1で以下の2群に割り付けた.
  • 固定用量群(PSL 40mg/日相当)
  • 個別化用量群 (開発された投与スケールをもとに用量決定)
  • 主要評価項目は複合的な治療の失敗 (入院中の治療失敗 (機械換気、 ステロイド・アミオフィリンの追加・抗菌薬のエスカレーション)、 退院後の治療失敗 (180日以内の死亡または再入院))、 副次評価項目は入院期間、 医療費とした.

研究結果

  • 固定用量群、 個別化用量群にそれぞれ124人、 計248人が割り付けられた.
  • 治療失敗は、 固定用量群 48.8%、 個別化用量群 27.6%で、 相対リスク比 0.40 (95% CI, 0.24-0.68 ; P=0.001)で有意差がみられた.
  • 入院中の治療失敗は、 個別化用量群で有意に少なかった(10.6% vs 24.4% ; P=0.005)
  • 中期的な治療失敗、 有害事象、 入院期間と医療費に関しては、 2群間の有意差はみられなかった.
  • 治療に失敗した場合でも、 個別化投与群では固定用量群と比較して、 病勢のコントロールのために追加投与されたステロイドの量や期間はより少なかった. 個別化投与群のうち、 PSL 40mg/日相当量以下の投与を受けた患者で44.4%の治療失敗があったのに対し、 それより多い投与を受けた患者の治療失敗は22.9%にとどまった(P = .027).

使用上の注意

  • 本スコアのvalidationは不十分である.
  • 本研究の治療効果の差が個別化によるものか、 高用量によるものか不明 (個別化をしたとしても、結局PSL40mg/日相当量以下の投与患者では、 固定用量群ほぼ変わらない結果となっており、 60mg/日相当量を超える投与患者では治療失敗率が低下している)

参考文献

  1. Personalized Variable vs Fixed-Dose Systemic Corticosteroid Therapy in Hospitalized Patients With Acute Exacerbations of COPD: A Prospective, Multicenter, Randomized, Open-Label Clinical Trial. Chest. 2021 Nov;160(5):1660-1669. PMID: 34023318

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📘ACO 診断と治療の手引き2018

📘NPPVガイドライン 改訂第2版

📘COPD診断・治療のためのガイドライン2022

📙専門医解説:COPD急性増悪 (日赤医療センター 久世眞之先生)

最終更新日:2023年2月9日
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