ASA-PSとは？

American Society of Anesthesiologists (米国麻酔科学会)による術前の身体状態 (Physical Status)を評価したシステムである｡ 2014年､分類の参考となる具体例が追加された｡

class Ⅰ  正常で健康状態

健康的で､ 禁煙､ 飲酒なし または最小限の飲酒､ 正常BMI

class Ⅱ 軽度の全身疾患

喫煙､ 肥満(BMI>30)､ 妊娠､コントロールされた糖尿病､高血圧､軽度肺疾患など

class Ⅲ 重度の全身疾患

コントロール不良の糖尿病や高血圧､ COPD､ 高度肥満(BMI≧40)､ 活動性の肝炎､ 心筋梗塞の既往､ ペースメーカーの植え込み､ 透析患者など

class Ⅳ 常に生命を脅かす重篤な全身疾患

直近3か月未満の心筋梗塞､ 心虚血､ 重度の弁膜症､ 重度の駆出率低下､ ショック状態､ 敗血症､ DICなど

class Ⅴ 手術なしでは生存不能な瀕死状態

胸部/腹部大動脈瘤の破裂､ 大規模な外傷､ 頭蓋内出血､ 多臓器不全など

class Ⅵ 脳死状態

ドナー目的で臓器が摘出されている､ または宣言された脳死患者

※緊急手術の場合は､Eを併記する

エビデンスと注意事項

患者の術前の状態を評価することは､ 麻酔および周術期のリスクを予測するのに役立つ一方､ あくまでも臨床上の評価である｡ また､ 妊娠は病気ではないが､ 妊娠していないときに比べ生理的状態は著しく変化するため､ 合併症のない妊娠女性はASA Ⅱに分類される｡

参考文献

1. American Society of Anesthesiologists (米国麻酔科学会)のASA身体状態分類システム
2. GRADING OF PATIENTS FOR SURGICAL PROCEDURES, Anesthesiology, May.1941,Vol.2, 281-284.

最終更新：2023年8月11日

監修医師：HOKUTO編集部監修医師