概要
計算
監修医師

浸透圧ギャップとは?

血清浸透圧の理論値と実測値の差を浸透圧ギャップ(Osmolality gap OG)という¹⁾²⁾。 それぞれの計算式は以下のとおりである。

計算方法

血清浸透圧の理論値

血清浸透圧 (mOsm/L)= 2×Na⁺ + {尿素窒素(mg/dL) / 2.8} + {血糖(mg/dL) / 18}

浸透圧ギャップ

浸透圧ギャップ(OG)=血清浸透圧(実測値) - 血清浸透圧(理論値)

解釈

OGは健常者では 0~10mOsm/kg・H₂Oであり、 血清中の実測不可能な外因性ないし内因性の溶質量を表す¹⁾²⁾。

OGを生じる外因性物質として代表的なものがアルコールである¹⁾²⁾。 ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全、低ナトリウム血症にもOGが見られうるが、このOGは15~20mOsm/L以下である¹⁾。 OGが20 mOsm/Lを超える場合は、アルコールが血中に蓄積されていることを示す¹⁾。

血中エタノール濃度推定への利用

浸透圧ギャップを生じる外因性物質として代表的なものがアルコールであり、 しばしば簡易的なアルコール濃度推定として浸透圧ギャップが用いられることがある。

エタノールは分子量が46g/molであることから、理論上は下記のように計算可能である。

血中エタノール濃度の推定値 (mg/dL)=浸透圧ギャップ×4.6 ³⁾⁴⁾

参考: 血液中エタノール濃度と酩酊症状⁵⁾

[爽快期] 20~50mg/dL

陽気になる、皮膚が赤くなる

[ほろ酔い期] 50~100mg/dL

ほろ酔い気分、手の動きが活発になる

[酩酊初期] 100~150mg/dL

気が大きくなる、立てばふらつく

[酩酊極期] 150~300mg/dL

何度も同じことを喋る、千鳥足

[泥酔期] 300~400mg/dL

意識がはっきりしない、立てない

[昏睡期] 400mg/dL超え

揺り起こしても起きない、呼吸抑制から死亡も

出典

  1. Toxic alcohol ingestions: clinical features, diagnosis, and management . Clin J Am Soc Nephrol. 2008 Jan;3(1):208-25. PMID: 18045860
  2. 日本救急医学会 オスモラリティーギャップ
  3. Is the Osmolal Concentration of Ethanol Greater Than Its Molar Concentration?  Front Med (Lausanne). 2020 Jan 8;6:306.PMID: 31970159
  4. Osmol gaps revisited: normal values and limitations . J Toxicol Clin Toxicol. 1993;31(1):81-93.PMID:8433417
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット アルコール酩酊

最終更新 : 2025年2月2日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

浸透圧ギャップ (血中エタノール濃度予測)
浸透圧ギャップ (血中エタノール濃度予測)
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浸透圧ギャップ (血中エタノール濃度予測)
浸透圧ギャップ (血中エタノール濃度予測)

浸透圧ギャップ (血中エタノール濃度予測)

血清浸透圧実測値と理論値のギャップ
2025年02月02日更新
概要
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浸透圧ギャップとは?

血清浸透圧の理論値と実測値の差を浸透圧ギャップ(Osmolality gap OG)という¹⁾²⁾。 それぞれの計算式は以下のとおりである。

計算方法

血清浸透圧の理論値

血清浸透圧 (mOsm/L)= 2×Na⁺ + {尿素窒素(mg/dL) / 2.8} + {血糖(mg/dL) / 18}

浸透圧ギャップ

浸透圧ギャップ(OG)=血清浸透圧(実測値) - 血清浸透圧(理論値)

解釈

OGは健常者では 0~10mOsm/kg・H₂Oであり、 血清中の実測不可能な外因性ないし内因性の溶質量を表す¹⁾²⁾。

OGを生じる外因性物質として代表的なものがアルコールである¹⁾²⁾。 ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全、低ナトリウム血症にもOGが見られうるが、このOGは15~20mOsm/L以下である¹⁾。 OGが20 mOsm/Lを超える場合は、アルコールが血中に蓄積されていることを示す¹⁾。

血中エタノール濃度推定への利用

浸透圧ギャップを生じる外因性物質として代表的なものがアルコールであり、 しばしば簡易的なアルコール濃度推定として浸透圧ギャップが用いられることがある。

エタノールは分子量が46g/molであることから、理論上は下記のように計算可能である。

血中エタノール濃度の推定値 (mg/dL)=浸透圧ギャップ×4.6 ³⁾⁴⁾

参考: 血液中エタノール濃度と酩酊症状⁵⁾

[爽快期] 20~50mg/dL

陽気になる、皮膚が赤くなる

[ほろ酔い期] 50~100mg/dL

ほろ酔い気分、手の動きが活発になる

[酩酊初期] 100~150mg/dL

気が大きくなる、立てばふらつく

[酩酊極期] 150~300mg/dL

何度も同じことを喋る、千鳥足

[泥酔期] 300~400mg/dL

意識がはっきりしない、立てない

[昏睡期] 400mg/dL超え

揺り起こしても起きない、呼吸抑制から死亡も

出典

  1. Toxic alcohol ingestions: clinical features, diagnosis, and management . Clin J Am Soc Nephrol. 2008 Jan;3(1):208-25. PMID: 18045860
  2. 日本救急医学会 オスモラリティーギャップ
  3. Is the Osmolal Concentration of Ethanol Greater Than Its Molar Concentration?  Front Med (Lausanne). 2020 Jan 8;6:306.PMID: 31970159
  4. Osmol gaps revisited: normal values and limitations . J Toxicol Clin Toxicol. 1993;31(1):81-93.PMID:8433417
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最終更新 : 2025年2月2日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

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