概要
計算
監修医師

CDAI クローン病活動度指数とは?

Crohn’s disease activity index略で、 クローン病の重症度分類のひとつ¹⁻³⁾。 各臨床試験における採択率も高い、一般的な指標である⁴⁾。

CDAIの算出方法

以下8項目の合計点で評価する。 それぞれの評価方法と係数は以下の通りである。

❶過去1週間の水様または泥状便の回数 ×2

回腸造瘻術施行の場合、 1/3として評価する

❷過去1週間の腹痛  ×5

以下スコアで毎日評価し、 7日分を合計する

  0=なし、1=軽度、2=中等度、3=高度

❸過去1週間の一般状態 ×7

以下スコアで毎日評価し、 7日分を合計する

  0=良好、1=軽度不良、2=不良、3=重症、4=劇症

❹患者が現在もっている下記項目の数 ×20

1~6の1項目につき1点を加算し、 その合計する

 1) 関節炎または関節痛

 2) 皮膚または口腔内病変

   壊疽性膿皮症/結節性紅斑など

 3) 虹彩炎またはぶどう膜炎

 4) 裂肛、 痔瘻または肛門周囲膿瘍

 5) その他の瘻孔

   腸-膀胱瘻など

 6) 過去1週間の37.8℃を超える発熱

❺下痢に対しロペラミドorオピアト使用  ×30

  0=なし、 1=あり

❻腹部腫瘤  ×10

  0=なし、 2=疑い*、 5=確実にあり

   *筋満感ないしソーセージ様の腫脹した触知感

❼ヘマトクリット値 ×6

  男性:47 - ヘマトクリット値

  女性:42 - ヘマトクリット値

❽体重  ×1

  100 × ( 1 - 体重/標準体重 )

エビデンス

スコア開発の経緯

1976年に現在の8変数が報告され¹⁾、 その後1979年に実施されたクローン病に対するプレドニゾン、 スルファサラジン、 アザチオプリンの有効性を評価するNCCDS (National Cooperative Crohnʼs Disease Study) の結果に合わせ再評価が報告された²⁾。

使用上の注意点

本スコアのlimitationや課題について、 厚生労働省研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 (鈴木班)による炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集 第2版では以下の通り報告されている⁴⁾。

炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集より

  1. 主観的項目のうち、 一般状態と腹痛の程度は活動性評価のために重要な因子であるが、 被験者側の個人差によってスコアのバラツキが生じ、 信頼性や妥当性に欠ける面がある。
  2. 後ろ向きの評価では正確に症状が評価されない可能性があるため、 スコア算定に必要な7日間の状態を確実に評価するためには、 原則的に前向きで実施される必要がある。
  3. 標準体重が明確に定義されていない。
  4. スコアの重み付けを被験者間で統一するため、 スコアの記載方法 (例えば一般状態は発病前の状態を良好な状態として、 評価するなど) を被験者へきちんと説明する必要がある。
  5. 瘻孔や消化管狭窄は、 存在の有無のみで算定されるため、 瘻孔や狭窄患者の重篤度を的確に反映できない。
  6. 人工肛門造設患者では、 CDAIが算定できない。 実際に臨床的活動指数として用いる場合には、 上述したスコア算定上の制限に関して留意する必要がある。

標準体重の算出について

上記にあるように、標準体重は明確に定義されてはいないが、 本ツールでは【 (身長m)² ×22 】の適正体重(kg)を採用している。

腹痛、一般状態の算出について

毎日スコアを算出し7日間合計を算出するのが最も正確ではあるが、 本ツールでは便宜上1週間の平均を選択する仕様としている。

関連コンテンツ

クローン病

🔢Crohn病の診断基準

🔢Crohn病の重症度分類

🔢CDAI (クローン病)

🔢IOIBDスコア

炎症性腸疾患

🔢潰瘍性大腸炎の診断基準

🔢臨床的重症度による分類

🔢活動期内視鏡所見による分類

🔢Mayoスコア (重症度分類)

参考文献

  1. Development of a Crohn's disease activity index. National Cooperative Crohn's Disease Study. Gastroenterology. 1976 Mar;70(3):439-44. PMID: 1248701
  2. National Cooperative Crohn's Disease Study: results of drug treatment. Gastroenterology. 1979 Oct;77(4 Pt 2):847-69. PMID: 38176
  3. 厚生労働省研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 (鈴木班). 炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集 第2版 (令和2年3月)
 
最終更新:2023年1月21日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

CDAI (クローン病)
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
CDAI (クローン病)
CDAI (クローン病)

CDAI (クローン病)

クローン病の重症度分類
2023年11月07日更新
概要
計算

CDAI クローン病活動度指数とは?

Crohn’s disease activity index略で、 クローン病の重症度分類のひとつ¹⁻³⁾。 各臨床試験における採択率も高い、一般的な指標である⁴⁾。

CDAIの算出方法

以下8項目の合計点で評価する。 それぞれの評価方法と係数は以下の通りである。

❶過去1週間の水様または泥状便の回数 ×2

回腸造瘻術施行の場合、 1/3として評価する

❷過去1週間の腹痛  ×5

以下スコアで毎日評価し、 7日分を合計する

  0=なし、1=軽度、2=中等度、3=高度

❸過去1週間の一般状態 ×7

以下スコアで毎日評価し、 7日分を合計する

  0=良好、1=軽度不良、2=不良、3=重症、4=劇症

❹患者が現在もっている下記項目の数 ×20

1~6の1項目につき1点を加算し、 その合計する

 1) 関節炎または関節痛

 2) 皮膚または口腔内病変

   壊疽性膿皮症/結節性紅斑など

 3) 虹彩炎またはぶどう膜炎

 4) 裂肛、 痔瘻または肛門周囲膿瘍

 5) その他の瘻孔

   腸-膀胱瘻など

 6) 過去1週間の37.8℃を超える発熱

❺下痢に対しロペラミドorオピアト使用  ×30

  0=なし、 1=あり

❻腹部腫瘤  ×10

  0=なし、 2=疑い*、 5=確実にあり

   *筋満感ないしソーセージ様の腫脹した触知感

❼ヘマトクリット値 ×6

  男性:47 - ヘマトクリット値

  女性:42 - ヘマトクリット値

❽体重  ×1

  100 × ( 1 - 体重/標準体重 )

エビデンス

スコア開発の経緯

1976年に現在の8変数が報告され¹⁾、 その後1979年に実施されたクローン病に対するプレドニゾン、 スルファサラジン、 アザチオプリンの有効性を評価するNCCDS (National Cooperative Crohnʼs Disease Study) の結果に合わせ再評価が報告された²⁾。

使用上の注意点

本スコアのlimitationや課題について、 厚生労働省研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 (鈴木班)による炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集 第2版では以下の通り報告されている⁴⁾。

炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集より

  1. 主観的項目のうち、 一般状態と腹痛の程度は活動性評価のために重要な因子であるが、 被験者側の個人差によってスコアのバラツキが生じ、 信頼性や妥当性に欠ける面がある。
  2. 後ろ向きの評価では正確に症状が評価されない可能性があるため、 スコア算定に必要な7日間の状態を確実に評価するためには、 原則的に前向きで実施される必要がある。
  3. 標準体重が明確に定義されていない。
  4. スコアの重み付けを被験者間で統一するため、 スコアの記載方法 (例えば一般状態は発病前の状態を良好な状態として、 評価するなど) を被験者へきちんと説明する必要がある。
  5. 瘻孔や消化管狭窄は、 存在の有無のみで算定されるため、 瘻孔や狭窄患者の重篤度を的確に反映できない。
  6. 人工肛門造設患者では、 CDAIが算定できない。 実際に臨床的活動指数として用いる場合には、 上述したスコア算定上の制限に関して留意する必要がある。

標準体重の算出について

上記にあるように、標準体重は明確に定義されてはいないが、 本ツールでは【 (身長m)² ×22 】の適正体重(kg)を採用している。

腹痛、一般状態の算出について

毎日スコアを算出し7日間合計を算出するのが最も正確ではあるが、 本ツールでは便宜上1週間の平均を選択する仕様としている。

関連コンテンツ

クローン病

🔢Crohn病の診断基準

🔢Crohn病の重症度分類

🔢CDAI (クローン病)

🔢IOIBDスコア

炎症性腸疾患

🔢潰瘍性大腸炎の診断基準

🔢臨床的重症度による分類

🔢活動期内視鏡所見による分類

🔢Mayoスコア (重症度分類)

参考文献

  1. Development of a Crohn's disease activity index. National Cooperative Crohn's Disease Study. Gastroenterology. 1976 Mar;70(3):439-44. PMID: 1248701
  2. National Cooperative Crohn's Disease Study: results of drug treatment. Gastroenterology. 1979 Oct;77(4 Pt 2):847-69. PMID: 38176
  3. 厚生労働省研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 (鈴木班). 炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集 第2版 (令和2年3月)
 
最終更新:2023年1月21日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師

各領域の第一線の専門医が複数在籍

最新トピックに関する独自記事を配信中

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

表・計算

臨床支援アプリHOKUTOでご利用いただける医療計算ツールのご紹介