概要
計算
監修医師

DAPTスコアとは?

  • 経皮的冠動脈形成術 (PCI) 後のアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬によるDAPT (Dual Antiplatelet Therapy: 抗血小板薬2剤併用療法)は、ステント血栓症予防の有効性から現在の標準治療となっているが、至適なDAPT継続期間については議論が続いている.
  • DAPTの継続には、 虚血出血のリスクのバランスを評価することが大切である.
  • PCIから1年間経過後のDAPT継続がその患者にとって有益か有害(出血の増加)かを識別する指標として開発されたのがDAPTスコアである¹⁾.

各項目とスコア¹⁾

対象はDAPT12ヶ月継続後の患者
  • 年齢:≧75 -2点、 65~74 -1点、≦64歳 0点
  • 喫煙歴 +1点
  • 心筋梗塞に対するPCI +1点
  • MIまたはPCIの既往 +1点
  • 糖尿病 +1点
  • ステント径 <3mm +1点
  • パクリタキセル溶出ステント +1点
  • うっ血性心不全またはLVEF<30% +2点
  • 静脈グラフトステント +2点

エビデンス²⁾

  • ≦1点 : 虚血/出血リスク 低い ※DAPT延長は非推奨
  • ≧2点 : 虚血/出血リスク 高い ※DAPT延長を推奨

使用上の注意点

  • DAPTに忍容性のある低リスク患者のみ適用 (PCI施行後最初の1年間に出血イベントを起こした患者は除外されている)¹⁾.
  • PCI施行直後の本スコアの有用性についてまだ十分な知見は得られていない.
  • 至適なDAPT継続期間は 「血栓症予防」と「出血性合併症発生リスク」の両者のトレードオフで検討するべきであり、個々の症例に合わせた判断が重要である³⁾.

関連コンテンツ

🔢 ARC-HBR基準

参考文献

  1. Development and Validation of a Prediction Rule for Benefit and Harm of Dual Antiplatelet Therapy Beyond 1 Year After Percutaneous Coronary Intervention, JAMA. 2016 Apr 26;315(16):1735-49. PMID: 27022822
  2. 2016 ACC/AHA Guideline Focused Update on Duration of Dual Antiplatelet Therapy in Patients With Coronary Artery Disease: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines, J Am Coll Cardiol. 2016 Sep 6;68(10):1082-1115. PMID: 27036918
  3. 2020 年 JCS ガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法

最終更新:2022年11月25日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧

DAPTスコア

DAPT延長時の虚血/出血リスクスコア
2023年09月08日更新
概要
計算

DAPTスコアとは?

  • 経皮的冠動脈形成術 (PCI) 後のアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬によるDAPT (Dual Antiplatelet Therapy: 抗血小板薬2剤併用療法)は、ステント血栓症予防の有効性から現在の標準治療となっているが、至適なDAPT継続期間については議論が続いている.
  • DAPTの継続には、 虚血出血のリスクのバランスを評価することが大切である.
  • PCIから1年間経過後のDAPT継続がその患者にとって有益か有害(出血の増加)かを識別する指標として開発されたのがDAPTスコアである¹⁾.

各項目とスコア¹⁾

対象はDAPT12ヶ月継続後の患者
  • 年齢:≧75 -2点、 65~74 -1点、≦64歳 0点
  • 喫煙歴 +1点
  • 心筋梗塞に対するPCI +1点
  • MIまたはPCIの既往 +1点
  • 糖尿病 +1点
  • ステント径 <3mm +1点
  • パクリタキセル溶出ステント +1点
  • うっ血性心不全またはLVEF<30% +2点
  • 静脈グラフトステント +2点

エビデンス²⁾

  • ≦1点 : 虚血/出血リスク 低い ※DAPT延長は非推奨
  • ≧2点 : 虚血/出血リスク 高い ※DAPT延長を推奨

使用上の注意点

  • DAPTに忍容性のある低リスク患者のみ適用 (PCI施行後最初の1年間に出血イベントを起こした患者は除外されている)¹⁾.
  • PCI施行直後の本スコアの有用性についてまだ十分な知見は得られていない.
  • 至適なDAPT継続期間は 「血栓症予防」と「出血性合併症発生リスク」の両者のトレードオフで検討するべきであり、個々の症例に合わせた判断が重要である³⁾.

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🔢 ARC-HBR基準

参考文献

  1. Development and Validation of a Prediction Rule for Benefit and Harm of Dual Antiplatelet Therapy Beyond 1 Year After Percutaneous Coronary Intervention, JAMA. 2016 Apr 26;315(16):1735-49. PMID: 27022822
  2. 2016 ACC/AHA Guideline Focused Update on Duration of Dual Antiplatelet Therapy in Patients With Coronary Artery Disease: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines, J Am Coll Cardiol. 2016 Sep 6;68(10):1082-1115. PMID: 27036918
  3. 2020 年 JCS ガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法

最終更新:2022年11月25日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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