概要
計算
監修医師

IPSE-T / R-IPSE-Tとは?

本態性血小板血症の血栓症リスク分類

本態性血小板血症 (ET) における血栓・出血発症のリスク因子として、 従来は年齢 (60歳以上) と血栓・出血の既往が一般的であった。

その後、 これらに加え、 JAK2 V617F変異の存在、 糖尿病、 高血圧症、 脂質異常症及び喫煙などの心臓血管リスクの存在を加えた新たなリスク分類として、 IPSET-TおよびRevised-IPSET-Tが提唱された¹⁾²⁾。 

NCCNガイドラインをはじめ、 最近の海外のガイドラインではIPSET-TもしくはR-IPSET-Tが採用されている。 本邦の造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版においても従来法に加え、 R-IPSET-Tが取り上げられている³⁾。

IPSET-T¹⁾

IPSE-T / R-IPSE-T

R-IPSET-T (Revised-IPSET-T)²⁾

IPSE-T / R-IPSE-T

その他の血栓症リスク分類

IPSE-T / R-IPSE-T

エビデンス¹⁾⁴⁾⁵

R-IPSET-T (Revised-IPSET-T)²⁾

本態性血小板血症の血栓症リスク分類は、 まず年齢 (>60) と血栓症の既往歴に基づき低リスク群と高リスク群に分かれる¹⁾³⁾。 さらにJAK2遺伝子変異の有無を考慮すると将来の血管イベントにおいて従来の予測分類を上回る精度をもつこととなった¹⁾³⁾。

リスク別の治療方針

本邦の造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版³⁾では以下の方針が推奨されている。

  • ET治療目標は、 血栓症や出血の予防。
  • 高リスク (60歳以上または血栓症既往あり) では、 「低用量アスピリン投与+細胞減少療法」 を行う。  細胞減少療法にはヒドロキシウレア (HU) とアナグレリド (ANA) がある。
  • 低リスクで心血管リスクとJAK2変異がなければ 「経過観察」が原則だが、 いずれかに該当する場合、 血栓症発症リスクを低下させるため 「低用量アスピリン」を推奨する。
  • 治療目標値は明確ではないが、 臨床試験では血小板40万〜60万/μLを目標にされることが多い。
監修医追記:ただしこれらの方針は全例に当てはまるものではなく、 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報や国内外のガイドラインを確認の上、 判断ください。

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参考文献

  1. Development and validation of an International Prognostic Score of thrombosis in World Health Organization-essential thrombocythemia (IPSET-thrombosis). Blood. 2012 Dec 20;120(26):5128-33; quiz 5252. PMID: 23033268
  2. Practice-relevant revision of IPSET-thrombosis based on 1019 patients with WHO-defined essential thrombocythemia. Blood Cancer J. 2015 Nov 27;5(11):e369. PMID:26617062.
  3. 日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版. 金原出版. 2023
  4. 桐戸敬太. 『本態性血小板血症の治療』「血栓止血誌」 2021;32(4):376-382.

最終更新:2023年11月22日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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本態性血小板血症の血栓症リスク評価
2023年11月23日更新
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本態性血小板血症の血栓症リスク分類

本態性血小板血症 (ET) における血栓・出血発症のリスク因子として、 従来は年齢 (60歳以上) と血栓・出血の既往が一般的であった。

その後、 これらに加え、 JAK2 V617F変異の存在、 糖尿病、 高血圧症、 脂質異常症及び喫煙などの心臓血管リスクの存在を加えた新たなリスク分類として、 IPSET-TおよびRevised-IPSET-Tが提唱された¹⁾²⁾。 

NCCNガイドラインをはじめ、 最近の海外のガイドラインではIPSET-TもしくはR-IPSET-Tが採用されている。 本邦の造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版においても従来法に加え、 R-IPSET-Tが取り上げられている³⁾。

IPSET-T¹⁾

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エビデンス¹⁾⁴⁾⁵

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本態性血小板血症の血栓症リスク分類は、 まず年齢 (>60) と血栓症の既往歴に基づき低リスク群と高リスク群に分かれる¹⁾³⁾。 さらにJAK2遺伝子変異の有無を考慮すると将来の血管イベントにおいて従来の予測分類を上回る精度をもつこととなった¹⁾³⁾。

リスク別の治療方針

本邦の造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版³⁾では以下の方針が推奨されている。

  • ET治療目標は、 血栓症や出血の予防。
  • 高リスク (60歳以上または血栓症既往あり) では、 「低用量アスピリン投与+細胞減少療法」 を行う。  細胞減少療法にはヒドロキシウレア (HU) とアナグレリド (ANA) がある。
  • 低リスクで心血管リスクとJAK2変異がなければ 「経過観察」が原則だが、 いずれかに該当する場合、 血栓症発症リスクを低下させるため 「低用量アスピリン」を推奨する。
  • 治療目標値は明確ではないが、 臨床試験では血小板40万〜60万/μLを目標にされることが多い。
監修医追記:ただしこれらの方針は全例に当てはまるものではなく、 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報や国内外のガイドラインを確認の上、 判断ください。

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  1. Development and validation of an International Prognostic Score of thrombosis in World Health Organization-essential thrombocythemia (IPSET-thrombosis). Blood. 2012 Dec 20;120(26):5128-33; quiz 5252. PMID: 23033268
  2. Practice-relevant revision of IPSET-thrombosis based on 1019 patients with WHO-defined essential thrombocythemia. Blood Cancer J. 2015 Nov 27;5(11):e369. PMID:26617062.
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  4. 桐戸敬太. 『本態性血小板血症の治療』「血栓止血誌」 2021;32(4):376-382.

最終更新:2023年11月22日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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