概要
計算
監修医師

CHALICEとは?

Children's Head injury Algorithm for the Prediction of Important Clinical Eventsの略で、 イギリスで提唱された小児頭部外傷のCT適応基準である¹⁾。 

小児頭部外傷のCT適応基準にはアメリカのPECARN、 カナダのCATCHや、イギリスのCHALICEなどが知られている。 いずれも頭部CTの検査数を減らし、 放射線被爆を軽減させるとともに、 治療介入への効率化を目標としている。 CHALICEの最大の特徴は、 適用の広さであり、16歳未満の全ての小児に利用できる点である。

確認項目

以下の14項目のいずれかに該当する場合、頭部CTの撮像が推奨される

病歴

① 5分より長い意識消失

② 5分より長い健忘

③ 傾眠傾向

④ 3回以上の嘔吐

⑤ 虐待の疑い

⑥ てんかん既往歴のない患者でのてんかん

神経学的診察

⑦ GCS< 14  (1歳未満ではGCS<15)

⑧ 開放骨折、 陥没骨折の疑いまたは大泉門膨隆

⑨ 頭蓋骨骨折の所見

   (髄液耳漏、髄液鼻漏、 パンダの目徴候、 バトル徴候など)

⑩ 神経学的局所所見

⑪ 1歳未満で5cmより大きな皮下血腫や打撲痕

受傷起点

⑫ 時速64kmより速い速度での交通事故

⑬ 3mより高い高所からの転落

⑭ 速く動く物体との衝突

CHALICEの対象症例¹⁾

乳幼児を含めた16歳未満の小児全員が対象。 除外基準は設定されていない (オリジナルの対象症例は22,772人)。

CHALICEのアウトカム

臨床的に意義のある頭蓋内損傷や、 死亡、 脳外科的処置、 CTでの異常所見などに焦点が当てられている。

エビデンス

対象とされた22,772人の患者のうち、 頭部CT異常は281人、手術症例は137人、死亡例は15人で、 CHALICE基準を用いた感度は98%、 特異度87%で臨床的重度頭部外傷を判別でき、頭部CT施行率は14%に抑えることができた¹⁾.

使用上の注意点

陰性適中率は極めて高いとはいえ、100%ではなく一定の見逃しが起こる可能性がある。 小児頭部外傷ルールの中では、 PECARNが最も広く検証されている。

関連コンテンツ

🔢 PECARN 小児頭部外傷ルール

🔢 CATCH 小児頭部外傷ルール

🔢 CHALICE 小児頭部外傷ルール

参考文献

  1. Derivation of the children's head injury algorithm for the prediction of important clinical events decision rule for head injury in children. Arch Dis Child. 2006 Nov;91(11):885-91. PMID: 17056862

最終更新:2023年8月18日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

CHALICE 小児頭部外傷ルール
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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CHALICE 小児頭部外傷ルール
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CHALICE 小児頭部外傷ルール

小児頭部外傷患者のCT適応基準
2023年09月09日更新
概要
計算

CHALICEとは?

Children's Head injury Algorithm for the Prediction of Important Clinical Eventsの略で、 イギリスで提唱された小児頭部外傷のCT適応基準である¹⁾。 

小児頭部外傷のCT適応基準にはアメリカのPECARN、 カナダのCATCHや、イギリスのCHALICEなどが知られている。 いずれも頭部CTの検査数を減らし、 放射線被爆を軽減させるとともに、 治療介入への効率化を目標としている。 CHALICEの最大の特徴は、 適用の広さであり、16歳未満の全ての小児に利用できる点である。

確認項目

以下の14項目のいずれかに該当する場合、頭部CTの撮像が推奨される

病歴

① 5分より長い意識消失

② 5分より長い健忘

③ 傾眠傾向

④ 3回以上の嘔吐

⑤ 虐待の疑い

⑥ てんかん既往歴のない患者でのてんかん

神経学的診察

⑦ GCS< 14  (1歳未満ではGCS<15)

⑧ 開放骨折、 陥没骨折の疑いまたは大泉門膨隆

⑨ 頭蓋骨骨折の所見

   (髄液耳漏、髄液鼻漏、 パンダの目徴候、 バトル徴候など)

⑩ 神経学的局所所見

⑪ 1歳未満で5cmより大きな皮下血腫や打撲痕

受傷起点

⑫ 時速64kmより速い速度での交通事故

⑬ 3mより高い高所からの転落

⑭ 速く動く物体との衝突

CHALICEの対象症例¹⁾

乳幼児を含めた16歳未満の小児全員が対象。 除外基準は設定されていない (オリジナルの対象症例は22,772人)。

CHALICEのアウトカム

臨床的に意義のある頭蓋内損傷や、 死亡、 脳外科的処置、 CTでの異常所見などに焦点が当てられている。

エビデンス

対象とされた22,772人の患者のうち、 頭部CT異常は281人、手術症例は137人、死亡例は15人で、 CHALICE基準を用いた感度は98%、 特異度87%で臨床的重度頭部外傷を判別でき、頭部CT施行率は14%に抑えることができた¹⁾.

使用上の注意点

陰性適中率は極めて高いとはいえ、100%ではなく一定の見逃しが起こる可能性がある。 小児頭部外傷ルールの中では、 PECARNが最も広く検証されている。

関連コンテンツ

🔢 PECARN 小児頭部外傷ルール

🔢 CATCH 小児頭部外傷ルール

🔢 CHALICE 小児頭部外傷ルール

参考文献

  1. Derivation of the children's head injury algorithm for the prediction of important clinical events decision rule for head injury in children. Arch Dis Child. 2006 Nov;91(11):885-91. PMID: 17056862

最終更新:2023年8月18日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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