概要
計算
監修医師

チャールソン併存疾患指数とは

Charlsonらによって1987年に提唱された、 死亡に寄与する併存疾患を評価し、 そのスコアの合計を点数にした指標. 短期的な死亡リスクと相関があるとされる¹⁾. Charlson comobidity indexの頭文字からCCIと略されることもある.

10年生存率 = 0.983^{ e^(CCI × 0.9) } 
チャールソン併存疾患指数 (CCI)

それぞれの定義¹⁾

うっ血性心不全 

NYHA2*以上の症状があるもの (*坂道や階段をのぼるなど普通の身体活動で症状がある)

心筋梗塞

心電図変化 and/or 心筋逸脱酵素の上昇があり入院歴のあるもの

末梢動脈疾患

中等度の石灰化、 動脈バイパス施行者、 急性動脈閉塞、 壊疽の既往、 未治療の胸部もしくは腹部大動脈瘤

脳血管疾患

脳血管障害の既往があるが後遺症がないか軽度なもの、 またはTIA

認知症

慢性的な認知障害が併存しているもの

慢性肺疾患

Mild) 治療なしだと中等度の活動で呼吸困難が出現、 または発作のとき (例;喘息) だけ呼吸困難が出現する患者 Moderate) 治療の有無にかかわらず軽微な活動で呼吸困難が出現、 または治療中にもかかわらず中等度の活動で呼吸困難が出現する患者 Severe) 治療中にもかかわらず安静時に呼吸困難が出現する患者、 持続酸素投与が必 要な患者、 CO₂貯留や ベースライン の PaO₂が 50Torr 未満の患者

膠原病

SLE、 多発筋炎、 混合性結合組織病 (MTCD)、 多発血管炎、 中等度から重度のRAが併存している

消化性潰瘍

消化性潰瘍として治療が必要な状態のものもしくは出血が併存しているもの

軽度の肝疾患

慢性肝炎患者、 または門脈圧亢進症を伴わない肝硬変患者

中等度の肝障害

門脈圧亢進症を伴う肝硬変患者 (静脈瘤出血歴なし)

重度の肝障害

門脈圧亢進症を伴う肝硬変患者 (静脈瘤出血歴あり)

臓器障害を伴わない糖尿病

経口糖尿病薬またはインスリンで治療中の糖尿病が併存している. 食事療法のみは除く。HbA1c高値のみで未治療患者は除く

臓器障害を伴う糖尿病

3大合併症のいずれかもしくは DKA や HHS での入院歴が併存しているもの

片麻痺

脳卒中やその他の原因による片麻痺もしくは対麻痺が併存してるもの

中等度から重度の腎障害

血清 Cre>3.0mg/dl、 維持血液透析、 腎移植後、 尿毒症が併存しているもの

固形がん

固形がんで転移がないもので 5年以内に治療歴があるもの

白血病

急性・慢性骨髄性白血病、 急性・慢性リンパ性白血病、 真性多血症が併存しているもの

リンパ腫

ホジキン病、 リンパ肉腫、 Waldenstom’s 型マクログロブリン血症、 骨髄腫、 その他のリンパ腫が併存している

転移性固形がん

転移性充実性腫瘍 (例:乳癌、 肺癌、 大腸癌など)

AIDS

AIDS (確定) または AIDS 疑い (例:エイズ関連症候群)

エビデンス

オリジナル研究では、 併存疾患数が増えるごとに、 累積死亡率が上昇した¹⁾.

使用上の注意

「合併症を伴わない糖尿病」と「末期臓器障害のある糖尿病」、 「軽度の肝疾患」と「中等度~重度の肝疾患」、 そして「悪性腫瘍 (リンパ腫、白血病を含む)」と「転移性充実性腫瘍」は、 相互に排他的であるため、 これらが併記される場合には、 それぞれの点数を合計せず、 いずれかスコアの高い方を採用する¹⁾.

1987年のデータをもとにした予後予測であり、現在では治療法や予後も大きく変わり、 推定10年死亡率は全く参考にはならない. 2011年に報告されたカナダの再検証論文では、 17の併存疾患のうち、 5つは1年間の追跡において、 死亡率と関連せず、修正スコアは0点を割り当てられた²⁾. その他年齢調整のスコアが異なったり、採血値を追加したり複数の修正版が報告されている.

参考文献

  1. A new method of classifying prognostic comorbidity in longitudinal studies: development and validation. J Chronic Dis. 1987;40(5):373-83.PMID: 3558716
  2. Updating and validating the Charlson comorbidity index and score for risk adjustment in hospital discharge abstracts using data from 6 countries. Am J Epidemiol. 2011 Mar 15;173(6):676-82. PMID: 21330339

最終更新:2023年12月4日
監修医師:HOKUTO編集部医師

チャールソン併存疾患指数 (CCI)
チャールソン併存疾患指数 (CCI)
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
チャールソン併存疾患指数 (CCI)
チャールソン併存疾患指数 (CCI)

チャールソン併存疾患指数 (CCI)

併存疾患による予測短期死亡率
2023年12月04日更新
概要
計算

チャールソン併存疾患指数とは

Charlsonらによって1987年に提唱された、 死亡に寄与する併存疾患を評価し、 そのスコアの合計を点数にした指標. 短期的な死亡リスクと相関があるとされる¹⁾. Charlson comobidity indexの頭文字からCCIと略されることもある.

10年生存率 = 0.983^{ e^(CCI × 0.9) } 
チャールソン併存疾患指数 (CCI)

それぞれの定義¹⁾

うっ血性心不全 

NYHA2*以上の症状があるもの (*坂道や階段をのぼるなど普通の身体活動で症状がある)

心筋梗塞

心電図変化 and/or 心筋逸脱酵素の上昇があり入院歴のあるもの

末梢動脈疾患

中等度の石灰化、 動脈バイパス施行者、 急性動脈閉塞、 壊疽の既往、 未治療の胸部もしくは腹部大動脈瘤

脳血管疾患

脳血管障害の既往があるが後遺症がないか軽度なもの、 またはTIA

認知症

慢性的な認知障害が併存しているもの

慢性肺疾患

Mild) 治療なしだと中等度の活動で呼吸困難が出現、 または発作のとき (例;喘息) だけ呼吸困難が出現する患者 Moderate) 治療の有無にかかわらず軽微な活動で呼吸困難が出現、 または治療中にもかかわらず中等度の活動で呼吸困難が出現する患者 Severe) 治療中にもかかわらず安静時に呼吸困難が出現する患者、 持続酸素投与が必 要な患者、 CO₂貯留や ベースライン の PaO₂が 50Torr 未満の患者

膠原病

SLE、 多発筋炎、 混合性結合組織病 (MTCD)、 多発血管炎、 中等度から重度のRAが併存している

消化性潰瘍

消化性潰瘍として治療が必要な状態のものもしくは出血が併存しているもの

軽度の肝疾患

慢性肝炎患者、 または門脈圧亢進症を伴わない肝硬変患者

中等度の肝障害

門脈圧亢進症を伴う肝硬変患者 (静脈瘤出血歴なし)

重度の肝障害

門脈圧亢進症を伴う肝硬変患者 (静脈瘤出血歴あり)

臓器障害を伴わない糖尿病

経口糖尿病薬またはインスリンで治療中の糖尿病が併存している. 食事療法のみは除く。HbA1c高値のみで未治療患者は除く

臓器障害を伴う糖尿病

3大合併症のいずれかもしくは DKA や HHS での入院歴が併存しているもの

片麻痺

脳卒中やその他の原因による片麻痺もしくは対麻痺が併存してるもの

中等度から重度の腎障害

血清 Cre>3.0mg/dl、 維持血液透析、 腎移植後、 尿毒症が併存しているもの

固形がん

固形がんで転移がないもので 5年以内に治療歴があるもの

白血病

急性・慢性骨髄性白血病、 急性・慢性リンパ性白血病、 真性多血症が併存しているもの

リンパ腫

ホジキン病、 リンパ肉腫、 Waldenstom’s 型マクログロブリン血症、 骨髄腫、 その他のリンパ腫が併存している

転移性固形がん

転移性充実性腫瘍 (例:乳癌、 肺癌、 大腸癌など)

AIDS

AIDS (確定) または AIDS 疑い (例:エイズ関連症候群)

エビデンス

オリジナル研究では、 併存疾患数が増えるごとに、 累積死亡率が上昇した¹⁾.

使用上の注意

「合併症を伴わない糖尿病」と「末期臓器障害のある糖尿病」、 「軽度の肝疾患」と「中等度~重度の肝疾患」、 そして「悪性腫瘍 (リンパ腫、白血病を含む)」と「転移性充実性腫瘍」は、 相互に排他的であるため、 これらが併記される場合には、 それぞれの点数を合計せず、 いずれかスコアの高い方を採用する¹⁾.

1987年のデータをもとにした予後予測であり、現在では治療法や予後も大きく変わり、 推定10年死亡率は全く参考にはならない. 2011年に報告されたカナダの再検証論文では、 17の併存疾患のうち、 5つは1年間の追跡において、 死亡率と関連せず、修正スコアは0点を割り当てられた²⁾. その他年齢調整のスコアが異なったり、採血値を追加したり複数の修正版が報告されている.

参考文献

  1. A new method of classifying prognostic comorbidity in longitudinal studies: development and validation. J Chronic Dis. 1987;40(5):373-83.PMID: 3558716
  2. Updating and validating the Charlson comorbidity index and score for risk adjustment in hospital discharge abstracts using data from 6 countries. Am J Epidemiol. 2011 Mar 15;173(6):676-82. PMID: 21330339

最終更新:2023年12月4日
監修医師:HOKUTO編集部医師

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師

各領域の第一線の専門医が複数在籍

最新トピックに関する独自記事を配信中

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

表・計算

臨床支援アプリHOKUTOでご利用いただける医療計算ツールのご紹介