概要
計算
監修医師

PADUAスコアとは?

PADUAスコアは、 腎腫瘍の解剖学的分類に基づいた評価システムであり、 主に局所腎細胞がんの手術治療において、 合併症リスクと手術成功率を評価する目的で開発された¹⁾。 

Preoperative Aspects and Dimensions Used for an Anatomical (PADUA) classification of renal tumorsの略

PADUAスコアの評価項目¹⁾

上極/下極線との位置関係

  • 腫瘍が上極より上方、 下極より下方に50%以上含まれる +1
  • それ以外 +2

腎腫瘍の外方増殖性

腫瘍が腎臓の外方にある割合
  • ≧50%の増殖性 +1
  • <50%の増殖性 +2
  • 全て内方増殖 +3
腫瘍が全て腎臓内にとどまる

腫瘍の位置

  • 外側 +1
  • 内側 +2

腎洞に腫瘍が及ぶか

  • 及ばない +1
  • 及ぶ +2

尿路系に腫瘍が及ぶか

  • 及ばない +1
  • 尿路系に及ばないが圧迫している、 または浸潤している +2

腫瘍の直径

  • ≦ 4cm +1
  • 4.1-7.0cm +2
  • > 7cm +3
スコアが高いほど、 手術難易度が高く、 合併症リスクも高まることが示唆されている。

エビデンス

PADUAスコア6-7点に対する合併症リスクのハザード比 (HR)¹⁾

以下はPADUAスコアの開発とその妥当性を検証したオリジナル論文からの引用である。

  8-9点: HR=14.5, 95%CI;4.0-53.0, p<0.001

  ≧10点: HR=30.6, 95%CI;7.8-121.0, p<0.001

その他、 複数の研究において、 手術の合併症リスクや手術成功率と相関があることが報告されている。 特に、 腎部分切除術や腎全摘術を行う際に、 PADUA高スコアが出血、 尿漏れ、 手術時間延長などの合併症と関連していることが示されている。

注意事項

オリジナル文献では、 T1bの腎腫瘍患者数が限られていること、 アルゴリズム作成時に腹腔鏡手術の患者が少なかったことから、 さらなる外部検証を必要としている¹⁾。 

また、 あくまで手術の困難度や合併症リスクを評価するツールであり、 患者の健康状態や手術適応を決定する唯一の基準ではない。 臨床的な判断や他のリスク評価ツール (R.E.N.A.L metry scoreなど)と併用し、 最適な治療戦略を立てることが重要である。

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🔢IMDC分類

転移性腎細胞癌の予後予測分類

🔢R.E.N.A.L metryスコア

腎細胞癌の術前評価スケール

🔢PADUA スコア

腎細胞癌の術前評価スケール

🔢Bosniak分類

腎腫瘍 悪性度予測スコア

参考文献

  1. Preoperative aspects and dimensions used for an anatomical (PADUA) classification of renal tumours in patients who are candidates for nephron-sparing surgery. Eur Urol. 2009 Nov;56(5):786-93. PMID: 19665284. オリジナル文献

最終更新日:2023年11月3日
監修・作図:HOKUTO編集部専門医

PADUA 腎腫瘍スコア
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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腎腫瘍の解剖学的分類
2023年11月04日更新
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PADUAスコアは、 腎腫瘍の解剖学的分類に基づいた評価システムであり、 主に局所腎細胞がんの手術治療において、 合併症リスクと手術成功率を評価する目的で開発された¹⁾。 

Preoperative Aspects and Dimensions Used for an Anatomical (PADUA) classification of renal tumorsの略

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上極/下極線との位置関係

  • 腫瘍が上極より上方、 下極より下方に50%以上含まれる +1
  • それ以外 +2

腎腫瘍の外方増殖性

腫瘍が腎臓の外方にある割合
  • ≧50%の増殖性 +1
  • <50%の増殖性 +2
  • 全て内方増殖 +3
腫瘍が全て腎臓内にとどまる

腫瘍の位置

  • 外側 +1
  • 内側 +2

腎洞に腫瘍が及ぶか

  • 及ばない +1
  • 及ぶ +2

尿路系に腫瘍が及ぶか

  • 及ばない +1
  • 尿路系に及ばないが圧迫している、 または浸潤している +2

腫瘍の直径

  • ≦ 4cm +1
  • 4.1-7.0cm +2
  • > 7cm +3
スコアが高いほど、 手術難易度が高く、 合併症リスクも高まることが示唆されている。

エビデンス

PADUAスコア6-7点に対する合併症リスクのハザード比 (HR)¹⁾

以下はPADUAスコアの開発とその妥当性を検証したオリジナル論文からの引用である。

  8-9点: HR=14.5, 95%CI;4.0-53.0, p<0.001

  ≧10点: HR=30.6, 95%CI;7.8-121.0, p<0.001

その他、 複数の研究において、 手術の合併症リスクや手術成功率と相関があることが報告されている。 特に、 腎部分切除術や腎全摘術を行う際に、 PADUA高スコアが出血、 尿漏れ、 手術時間延長などの合併症と関連していることが示されている。

注意事項

オリジナル文献では、 T1bの腎腫瘍患者数が限られていること、 アルゴリズム作成時に腹腔鏡手術の患者が少なかったことから、 さらなる外部検証を必要としている¹⁾。 

また、 あくまで手術の困難度や合併症リスクを評価するツールであり、 患者の健康状態や手術適応を決定する唯一の基準ではない。 臨床的な判断や他のリスク評価ツール (R.E.N.A.L metry scoreなど)と併用し、 最適な治療戦略を立てることが重要である。

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参考文献

  1. Preoperative aspects and dimensions used for an anatomical (PADUA) classification of renal tumours in patients who are candidates for nephron-sparing surgery. Eur Urol. 2009 Nov;56(5):786-93. PMID: 19665284. オリジナル文献

最終更新日:2023年11月3日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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