概要
計算
監修医師

診断基準

診断のカテゴリー

Definite Aのうち1項目以上を満たし、 Bの鑑別すべき疾患を除外し、 Cを満たすもの

Probable Aのうち①及び②を満たし、 Bの鑑別すべき疾患を除外したもの

Possible Aのうち1項目以上

指定難病申請は「Definite」「Probable」が対象

A.症状

①進行性の異所性骨化 (以下の特徴を満たす)

  • フレアアップ (皮下軟部組織の炎症性腫脹)
  • 初回:乳児期から学童期に生じ、 その後引き続いて筋肉、 腱、 筋膜、 靱帯などの軟部組織が骨化する
  • 外傷 (手術などの医療行為を含む) に引き続いて生じることが多いが、 先行する外傷がはっきりしない場合もある
  • 移動性の場合もある
  • 骨化を生じる順序
  • 典型例:背側から腹側、 体幹から四肢、 頭側から尾側
  • 初発部位:多くは頭部か背部
  • 骨化を生じない部位
  • 横隔膜、 舌、 外眼筋、 心筋、 平滑筋  

②母趾の変形・短縮 (以下の特徴を満たす)  

  • 変形・短縮:生下時から認める
  • 変形:外反母趾が多く、 第一中足骨遠位関節面が傾いていることが多い
  • 短縮: 基節骨、 第一中手骨に認める
  • 年齢とともに基節骨と末節骨が癒合することがある

③その他の身体的特徴 

  • 生下時から認める頸部可動域制限 (頻度高い)
  • 棘突起の肥大、 高い椎体高、 椎間関節の癒合 (X線)
  • 母指の短縮、 斜指、 太い大腿骨頚部、 脛骨近位内側の骨突出 (頻度低い)

B.鑑別診断

以下の疾患を鑑別する

  • 外傷性骨化性筋炎
  • 進行性骨性異形成症
  • オールブライト (Albright) 遺伝性骨異栄養症

C.遺伝学的検査

ACVR1遺伝子の変異

重症度分類

指定難病申請は「下記評価スケールのいずれかが3以上」が対象
①mRS ②食事・栄養 ③呼吸

①mRS (modified Rankin Scale)

0 (まったく症候がない)

自覚症状と他覚徴候がともにない

1 (症候はあっても明らかな障害なし)

日常の勤めや活動は可能

自覚症状と他覚徴候はあるが、 発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない

2 (軽度の障害)

発症以前の活動が全て行えるわけではないが、 自分の身の回りのことは介助なしに行える

発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、 日常生活は自立している状態である

3 (中等度の障害)

何らかの介助を要すが、歩行は介助なしに可能

買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を要すが、通常歩行**、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助不要

4 (中等度から重度の障害)

歩行や身体的要求には介助を要する

通常歩行**、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助*を必要とするが、持続的な介護不要

5 (重度の障害)

寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを要する

常に誰かの介助**を要する

6 (死亡)

死亡

*介助とは、 手助け、 言葉による指示および見守りを意味する.
** 歩行は主に平地での歩行について判定する. なお、 歩行のための補助具(杖、歩行器)の使用は介助には含めない.

②食事・栄養 (N)

   0. 症候なし

  1. 時にむせる、 食事動作がぎこちないなどの症候があるが、 社会生活・日常生活に支障ない
  2. 食物形態の工夫や、 食事時の道具の工夫を必要とする
  3. 食事・栄養摂取に何らかの介助を要する
  4. 補助的な非経口的栄養摂取 (経管栄養、 中心静脈栄養など) を必要とする
  5. 全面的に非経口的栄養摂取に依存している

③呼吸 (R)

   0. 症候なし

  1. 肺活量の低下などの所見はあるが、 社会生活・日常生活に支障ない
  2. 呼吸障害のために軽度の息切れなどの症状がある
  3. 呼吸症状が睡眠の妨げになる、 あるいは着替えなどの日常生活動作で息切れが生じる
  4. 喀痰の吸引あるいは間欠的な換気補助装置使用が必要
  5. 気管切開あるいは継続的な換気補助装置使用が必要

関連コンテンツ

🔢 mRS (modified Rankin Scale)

脳卒中や神経疾患患者の機能的指標

参考文献

  1. 厚生労働省. 「平成27年7月1日施行の指定難病 (告示番号111~306) 進行性骨化性線維異形成症 概要・診断基準等」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000157215.docx (参照2023-4-10)

最終更新:2023年4月10日 
監修医師:HOKUTO編集部医師

進行性骨化性線維異形成症の診断基準・重症度分類
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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指定難病272
2023年04月11日更新
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診断のカテゴリー

Definite Aのうち1項目以上を満たし、 Bの鑑別すべき疾患を除外し、 Cを満たすもの

Probable Aのうち①及び②を満たし、 Bの鑑別すべき疾患を除外したもの

Possible Aのうち1項目以上

指定難病申請は「Definite」「Probable」が対象

A.症状

①進行性の異所性骨化 (以下の特徴を満たす)

  • フレアアップ (皮下軟部組織の炎症性腫脹)
  • 初回:乳児期から学童期に生じ、 その後引き続いて筋肉、 腱、 筋膜、 靱帯などの軟部組織が骨化する
  • 外傷 (手術などの医療行為を含む) に引き続いて生じることが多いが、 先行する外傷がはっきりしない場合もある
  • 移動性の場合もある
  • 骨化を生じる順序
  • 典型例:背側から腹側、 体幹から四肢、 頭側から尾側
  • 初発部位:多くは頭部か背部
  • 骨化を生じない部位
  • 横隔膜、 舌、 外眼筋、 心筋、 平滑筋  

②母趾の変形・短縮 (以下の特徴を満たす)  

  • 変形・短縮:生下時から認める
  • 変形:外反母趾が多く、 第一中足骨遠位関節面が傾いていることが多い
  • 短縮: 基節骨、 第一中手骨に認める
  • 年齢とともに基節骨と末節骨が癒合することがある

③その他の身体的特徴 

  • 生下時から認める頸部可動域制限 (頻度高い)
  • 棘突起の肥大、 高い椎体高、 椎間関節の癒合 (X線)
  • 母指の短縮、 斜指、 太い大腿骨頚部、 脛骨近位内側の骨突出 (頻度低い)

B.鑑別診断

以下の疾患を鑑別する

  • 外傷性骨化性筋炎
  • 進行性骨性異形成症
  • オールブライト (Albright) 遺伝性骨異栄養症

C.遺伝学的検査

ACVR1遺伝子の変異

重症度分類

指定難病申請は「下記評価スケールのいずれかが3以上」が対象
①mRS ②食事・栄養 ③呼吸

①mRS (modified Rankin Scale)

0 (まったく症候がない)

自覚症状と他覚徴候がともにない

1 (症候はあっても明らかな障害なし)

日常の勤めや活動は可能

自覚症状と他覚徴候はあるが、 発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない

2 (軽度の障害)

発症以前の活動が全て行えるわけではないが、 自分の身の回りのことは介助なしに行える

発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、 日常生活は自立している状態である

3 (中等度の障害)

何らかの介助を要すが、歩行は介助なしに可能

買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を要すが、通常歩行**、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助不要

4 (中等度から重度の障害)

歩行や身体的要求には介助を要する

通常歩行**、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助*を必要とするが、持続的な介護不要

5 (重度の障害)

寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを要する

常に誰かの介助**を要する

6 (死亡)

死亡

*介助とは、 手助け、 言葉による指示および見守りを意味する.
** 歩行は主に平地での歩行について判定する. なお、 歩行のための補助具(杖、歩行器)の使用は介助には含めない.

②食事・栄養 (N)

   0. 症候なし

  1. 時にむせる、 食事動作がぎこちないなどの症候があるが、 社会生活・日常生活に支障ない
  2. 食物形態の工夫や、 食事時の道具の工夫を必要とする
  3. 食事・栄養摂取に何らかの介助を要する
  4. 補助的な非経口的栄養摂取 (経管栄養、 中心静脈栄養など) を必要とする
  5. 全面的に非経口的栄養摂取に依存している

③呼吸 (R)

   0. 症候なし

  1. 肺活量の低下などの所見はあるが、 社会生活・日常生活に支障ない
  2. 呼吸障害のために軽度の息切れなどの症状がある
  3. 呼吸症状が睡眠の妨げになる、 あるいは着替えなどの日常生活動作で息切れが生じる
  4. 喀痰の吸引あるいは間欠的な換気補助装置使用が必要
  5. 気管切開あるいは継続的な換気補助装置使用が必要

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🔢 mRS (modified Rankin Scale)

脳卒中や神経疾患患者の機能的指標

参考文献

  1. 厚生労働省. 「平成27年7月1日施行の指定難病 (告示番号111~306) 進行性骨化性線維異形成症 概要・診断基準等」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000157215.docx (参照2023-4-10)

最終更新:2023年4月10日 
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