概要
計算
監修医師

脳梁インデックスとは?

脳梁インデックス (corpus callosum index;CCI) は、 脳萎縮を程度を推測する指標で、 2007年にFigueira FFらにより多発性硬化症 (MS) の長期評価を目的に報告された¹⁾。 主にMSに、 その他萎縮を伴う脳疾患の評価にも用いられる。 通常のMRI画像を用いて簡易的に計測できる点が特徴である。

計算方法と評価

脳梁前部、中部(体部)、後部の合計を、 脳梁の最大前後径で除した値が脳梁インデックスである。

脳梁インデックス (CCI)
Arq Neuropsiquiatr. 2007 Dec;65(4A):931-5. より数式引用 掲載画像についてはHOKUTO編集部が作図

カットオフ値については、いくつかの報告があるが、 MS患者75例を対象とした本邦の研究では、 0.32未満 重度、 0.385以上 軽度、 0.32以上0.385未満 中等度脳萎縮と報告されている²⁾。

脳梁インデックス (CCI)
Mult Scler Relat Disord. 2020 Oct;45:102388.より引用

また、 MS患者91例を対象に二次元 (2D) 測定値を用いて検討した本邦の研究では、 脳容積減少が軽度なクラスター1と、 全脳およびテント上領域の脳容積減少が急激なクラスター2とを分類するカットオフ値は、 0.3166667と同定されている³⁾。

脳梁インデックス (CCI)
Mult Scler Relat Disord.2022;59:103543.より引用

エビデンス

本邦ガイドラインの記載

日本神経学会の『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』には、 脳萎縮の評価指標の一つとして掲載されているが定量的指標に関する記載はない⁴⁾。 MSの予後因子として脳萎縮は非常に重要であり、 病初期から脳容積の変化に注意する必要がある⁴⁾。

これまでの外部検証

過去の報告から、 MS患者において、 CCIは脳梁容積、 病巣容積、 白質容積、 全脳容積と関連していることが報告されている¹⁾⁵⁾⁶⁾⁷⁾。

CCI以外の脳萎縮の評価指標

MRIで取得したmagnetization-prepared rapid gradient echo (MPRAGE) などのDigital Imaging and Communications in Medicine (DICOM) データを用いて、 専用のソフトウェアで脳容積、 脳容積変化率などを測定する手法がある (保険適用外)⁴⁾。 その他、 血清あるいは脳脊髄液中のニューロフィラメント軽鎖を測定する手法がしられている (保険適用外)⁴⁾。

使用上の注意点

本稿記載のカットオフ値を算出した研究²⁾³⁾は、 単一施設で、 日本のMS患者の限られたサンプルを対象に行われた。 そのため、 選択バイアスの影響を受けている可能性があり、 結果の一般化には注意が必要である。

出典

1) Figueira FF, et al. Arq Neuropsiquiatr. 2007 Dec;65(4A):931-5. PMID: 18094848

2) Fujimori J, et al. Mult Scler Relat Disord. 2020 Oct;45:102388. PMID: 32659734

3) Nishizawa K, et al. Mult Scler Relat Disord.2022;59:103543. PMID: 35078126

4) 日本神経学会 監修 : 多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023, 医学書院, p.217

5) Yaldizli Ö, et al. Mult Scler. 2014 Mar;20(3):356-64. PMID: 23959709

6) Gonçalves LI, et al. Mult Scler Relat Disord. 2018 Feb;20:154-158. PMID: 29414290

7) Huang SY, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2019 Mar 30;6(5):882-892. PMID: 31139686

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多発性硬化症の疾患活動性

脳梁インデックス (CCI)

MRI画像を基にした脳萎縮の指標

最終更新 : 2024年8月29日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

脳梁インデックス (CCI)
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多発性硬化症の脳萎縮指標
2024年08月29日更新
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脳梁インデックスとは?

脳梁インデックス (corpus callosum index;CCI) は、 脳萎縮を程度を推測する指標で、 2007年にFigueira FFらにより多発性硬化症 (MS) の長期評価を目的に報告された¹⁾。 主にMSに、 その他萎縮を伴う脳疾患の評価にも用いられる。 通常のMRI画像を用いて簡易的に計測できる点が特徴である。

計算方法と評価

脳梁前部、中部(体部)、後部の合計を、 脳梁の最大前後径で除した値が脳梁インデックスである。

脳梁インデックス (CCI)
Arq Neuropsiquiatr. 2007 Dec;65(4A):931-5. より数式引用 掲載画像についてはHOKUTO編集部が作図

カットオフ値については、いくつかの報告があるが、 MS患者75例を対象とした本邦の研究では、 0.32未満 重度、 0.385以上 軽度、 0.32以上0.385未満 中等度脳萎縮と報告されている²⁾。

脳梁インデックス (CCI)
Mult Scler Relat Disord. 2020 Oct;45:102388.より引用

また、 MS患者91例を対象に二次元 (2D) 測定値を用いて検討した本邦の研究では、 脳容積減少が軽度なクラスター1と、 全脳およびテント上領域の脳容積減少が急激なクラスター2とを分類するカットオフ値は、 0.3166667と同定されている³⁾。

脳梁インデックス (CCI)
Mult Scler Relat Disord.2022;59:103543.より引用

エビデンス

本邦ガイドラインの記載

日本神経学会の『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』には、 脳萎縮の評価指標の一つとして掲載されているが定量的指標に関する記載はない⁴⁾。 MSの予後因子として脳萎縮は非常に重要であり、 病初期から脳容積の変化に注意する必要がある⁴⁾。

これまでの外部検証

過去の報告から、 MS患者において、 CCIは脳梁容積、 病巣容積、 白質容積、 全脳容積と関連していることが報告されている¹⁾⁵⁾⁶⁾⁷⁾。

CCI以外の脳萎縮の評価指標

MRIで取得したmagnetization-prepared rapid gradient echo (MPRAGE) などのDigital Imaging and Communications in Medicine (DICOM) データを用いて、 専用のソフトウェアで脳容積、 脳容積変化率などを測定する手法がある (保険適用外)⁴⁾。 その他、 血清あるいは脳脊髄液中のニューロフィラメント軽鎖を測定する手法がしられている (保険適用外)⁴⁾。

使用上の注意点

本稿記載のカットオフ値を算出した研究²⁾³⁾は、 単一施設で、 日本のMS患者の限られたサンプルを対象に行われた。 そのため、 選択バイアスの影響を受けている可能性があり、 結果の一般化には注意が必要である。

出典

1) Figueira FF, et al. Arq Neuropsiquiatr. 2007 Dec;65(4A):931-5. PMID: 18094848

2) Fujimori J, et al. Mult Scler Relat Disord. 2020 Oct;45:102388. PMID: 32659734

3) Nishizawa K, et al. Mult Scler Relat Disord.2022;59:103543. PMID: 35078126

4) 日本神経学会 監修 : 多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023, 医学書院, p.217

5) Yaldizli Ö, et al. Mult Scler. 2014 Mar;20(3):356-64. PMID: 23959709

6) Gonçalves LI, et al. Mult Scler Relat Disord. 2018 Feb;20:154-158. PMID: 29414290

7) Huang SY, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2019 Mar 30;6(5):882-892. PMID: 31139686

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最終更新 : 2024年8月29日
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