TSS (Transformation Scoring System) とは、 2020年にShichijoら国立がん研究センター中央・東病院のグループにより開発された、 濾胞性リンパ腫 (FL) の病勢進行時、 生検の実施が困難な場合に臨床所見と血液検査値から臨床的形質転換の可能性を評価する補助的スコアである¹⁾。
FLでは、 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などへの組織学的形質転換 (HT) を来すことがある。 HTの確定診断には生検が必要だが、 病勢進行時に常に実施できるとは限らない。
従来のVancouver criterionでは、 各項目、 特に急速なリンパ節増大の定義が明確でない点が課題とされていた。 TSSは、 病勢進行時に評価可能な臨床因子を用いて、 臨床的形質転換を評価する目的で開発された¹⁾。
以下の4項目の合計点を計算する。
原著では、 2点以上をカットオフとした場合のPPVは導出コホートで96.4%、 外部検証コホートで93.3%、 NPVはそれぞれ85.4%、 82.9%であった¹⁾。
≦1点 : 臨床的形質転換の可能性は低い。
≧2点 : 臨床的形質転換の可能性が高い。
本研究は国立がん研究センター中央病院および東病院の後ろ向き研究であり、 126例の病理学的にHTが確認された患者を対象としてTSSが作成された。
導出コホートでのROC解析では、 AUCは0.91と高い識別能を示した。 カットオフ値は3.31と算出され、 これを簡略化してカットオフ2点のTSSとした。 カットオフを2点とするとPPVは96.4%、 NPVは85.4%であった¹⁾。
独立した外部検証コホート50例では、 TSSのAUCは0.900であり、 2点以上でPPV 93.3%、 NPV 82.9%を示した。 また、 HTの割合は0点5%、 1点33%、 2点100%、 3点80%、 4点100%、 5点以上100%であった¹⁾。
さらに、 生検を施行できなかった104例に適用した内部検証では、 TSS 2点以上の患者 (20例) の5年全生存率は63.4%であり、 0~1点の98.2%と比べ有意に不良であった (p<0.001)。 高スコア群の86%はリンパ腫による死亡であり、 生検不能例においてもTSSは臨床的形質転換の推定および予後予測に有用であった¹⁾。
PET/CTのSUVmaxもHTと関連していたが、 SUVmaxを組み込んだモデルはTSSを上回らず、 施設間でSUVmax値の適用が困難であることから最終モデルには採用されなかった¹⁾。
Tatetsuらは、 再発FL患者22例を対象に、 TSSとVancouver criterionの診断性能を比較した²⁾。 病勢進行時に82%で生検が行われ、 HTは全例で病理学的に確認された。 TSSはVancouver criterionと比べて、 より高いPPV、 NPVおよび診断精度を示した²⁾。
TSSは病理組織診断を代替するものではない。 生検が可能な場合は、 病理学的な確定診断を優先する。 TSSは、 生検の実施が難しい場合の補助的な参考情報として用いる¹⁾²⁾。
TSSは、 診断時のHT発症リスクを予測するスコアではない。 病勢進行時に臨床的形質転換の可能性を評価するための指標である¹⁾。
原著は2施設の後方視的コホートに基づき、 追加検証も小規模である。 異なる施設・人種背景・治療環境における再現性は十分に確立されていない。 また、 4項目のいずれかが欠損している場合の公式な補完方法は示されていない¹⁾。
本ツールは診断の補助を目的としており、 病理組織診断に代わるものではない。 生検が実施可能な場合は、 生検による確定診断を優先すること。
最終更新 : 2026年9月12日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
TSS (Transformation Scoring System) とは、 2020年にShichijoら国立がん研究センター中央・東病院のグループにより開発された、 濾胞性リンパ腫 (FL) の病勢進行時、 生検の実施が困難な場合に臨床所見と血液検査値から臨床的形質転換の可能性を評価する補助的スコアである¹⁾。
FLでは、 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などへの組織学的形質転換 (HT) を来すことがある。 HTの確定診断には生検が必要だが、 病勢進行時に常に実施できるとは限らない。
従来のVancouver criterionでは、 各項目、 特に急速なリンパ節増大の定義が明確でない点が課題とされていた。 TSSは、 病勢進行時に評価可能な臨床因子を用いて、 臨床的形質転換を評価する目的で開発された¹⁾。
以下の4項目の合計点を計算する。
原著では、 2点以上をカットオフとした場合のPPVは導出コホートで96.4%、 外部検証コホートで93.3%、 NPVはそれぞれ85.4%、 82.9%であった¹⁾。
≦1点 : 臨床的形質転換の可能性は低い。
≧2点 : 臨床的形質転換の可能性が高い。
本研究は国立がん研究センター中央病院および東病院の後ろ向き研究であり、 126例の病理学的にHTが確認された患者を対象としてTSSが作成された。
導出コホートでのROC解析では、 AUCは0.91と高い識別能を示した。 カットオフ値は3.31と算出され、 これを簡略化してカットオフ2点のTSSとした。 カットオフを2点とするとPPVは96.4%、 NPVは85.4%であった¹⁾。
独立した外部検証コホート50例では、 TSSのAUCは0.900であり、 2点以上でPPV 93.3%、 NPV 82.9%を示した。 また、 HTの割合は0点5%、 1点33%、 2点100%、 3点80%、 4点100%、 5点以上100%であった¹⁾。
さらに、 生検を施行できなかった104例に適用した内部検証では、 TSS 2点以上の患者 (20例) の5年全生存率は63.4%であり、 0~1点の98.2%と比べ有意に不良であった (p<0.001)。 高スコア群の86%はリンパ腫による死亡であり、 生検不能例においてもTSSは臨床的形質転換の推定および予後予測に有用であった¹⁾。
PET/CTのSUVmaxもHTと関連していたが、 SUVmaxを組み込んだモデルはTSSを上回らず、 施設間でSUVmax値の適用が困難であることから最終モデルには採用されなかった¹⁾。
Tatetsuらは、 再発FL患者22例を対象に、 TSSとVancouver criterionの診断性能を比較した²⁾。 病勢進行時に82%で生検が行われ、 HTは全例で病理学的に確認された。 TSSはVancouver criterionと比べて、 より高いPPV、 NPVおよび診断精度を示した²⁾。
TSSは病理組織診断を代替するものではない。 生検が可能な場合は、 病理学的な確定診断を優先する。 TSSは、 生検の実施が難しい場合の補助的な参考情報として用いる¹⁾²⁾。
TSSは、 診断時のHT発症リスクを予測するスコアではない。 病勢進行時に臨床的形質転換の可能性を評価するための指標である¹⁾。
原著は2施設の後方視的コホートに基づき、 追加検証も小規模である。 異なる施設・人種背景・治療環境における再現性は十分に確立されていない。 また、 4項目のいずれかが欠損している場合の公式な補完方法は示されていない¹⁾。
本ツールは診断の補助を目的としており、 病理組織診断に代わるものではない。 生検が実施可能な場合は、 生検による確定診断を優先すること。
最終更新 : 2026年9月12日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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