概要
計算
監修医師

改訂Genevaスコアとは?

改訂Genevaスコア (revised Geneva Score) は、 Le Galらが2006年にスイス・フランスの3大学病院 (ジュネーブ、 ローザンヌ、 アンジェ) で作成・外部検証した、 肺血栓塞栓症 疑い患者の臨床的前確率を客観的に層別化するツールである¹⁾。

計算方法

対象は循環動態が安定した成人で、 救急外来などで急性呼吸困難または胸痛によりPEが疑われる患者。 利用場面は、 D‑ダイマー測定や画像検査 (CTPA、 下肢エコーなど) に先立ち、 低・中間・高リスクを判定して診断アルゴリズムを最適化する状況である¹⁾。

- 66歳以上 +1

- PTEまたはDVT既往 +3

- 1ヵ月以内の全麻下手術または下肢骨折 +2

- 活動性悪性腫瘍 +2

  診断・治療中または1年以内寛解

- 片側下肢痛 +3

- 血痰 +2

- 心拍数 75–94/分 +3 ≧95/分 +5

- 下肢深部静脈拍動を伴う痛みと下腿浮腫 +4

合計点の解釈 (PE有病率)

0–3 点 : 低確率 (8–10%)

4–10 点 : 中間確率 (28%)

≧11 点 : 高確率 (72–75%)

※全項目1点化した簡易版も報告されている

エビデンス

開発・外部検証

965例の導出と756例の検証でAUC0.74、 低・中・高群のPE有病率は8%、 28%、 74%と良好な識別能を示した¹⁾。

簡易版 (sRGS)

全項目1点化したKlokらの研究 (1049例) でAUCは従来版と同等 (0.74) であり、 計算エラー低減が期待される²⁾。

本邦ガイドラインの記載

Well’sスコアやPERCルールとともに検査前確率評価の一つとして本ツールおよび、全項目1点の簡易版が紹介されている³⁾。

出典 : 2025年改訂版肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン³⁾

使用上の注意点

適用範囲 : 妊娠・周術期大量出血・ショックなど重症例、 すでに抗凝固中、 18歳未満では十分に検証されていない。

再現性 : 原著では観察者間一致を評価しておらず、 下肢痛・浮腫の判定は訓練でばらつき得る¹⁾

診断フロー : 低~中間群では高感度D‑ダイマー (年齢補正を含む) と組み合わせて画像検査を省略し得るが、 D‑ダイマー陰性でも臨床的疑念が高ければCTPAを考慮する。

出典

1) Prediction of pulmonary embolism in the emergency department: the revised Geneva score. Ann Intern Med. 2006 Feb 7;144(3):165-71. PMID: 16461960

2) Simplification of the revised Geneva score for assessing clinical probability of pulmonary embolism. Arch Intern Med. 2008 Oct 27;168(19):2131-6. PMID: 18955643

3) 日本循環器学会/日本肺高血圧・肺循環学会合同ガイドライン. 2025年改訂版肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン

最終更新 : 2025年4月20日
監修 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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肺血栓塞栓症の診断予測
2025年04月20日更新
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改訂Genevaスコアとは?

改訂Genevaスコア (revised Geneva Score) は、 Le Galらが2006年にスイス・フランスの3大学病院 (ジュネーブ、 ローザンヌ、 アンジェ) で作成・外部検証した、 肺血栓塞栓症 疑い患者の臨床的前確率を客観的に層別化するツールである¹⁾。

計算方法

対象は循環動態が安定した成人で、 救急外来などで急性呼吸困難または胸痛によりPEが疑われる患者。 利用場面は、 D‑ダイマー測定や画像検査 (CTPA、 下肢エコーなど) に先立ち、 低・中間・高リスクを判定して診断アルゴリズムを最適化する状況である¹⁾。

- 66歳以上 +1

- PTEまたはDVT既往 +3

- 1ヵ月以内の全麻下手術または下肢骨折 +2

- 活動性悪性腫瘍 +2

  診断・治療中または1年以内寛解

- 片側下肢痛 +3

- 血痰 +2

- 心拍数 75–94/分 +3 ≧95/分 +5

- 下肢深部静脈拍動を伴う痛みと下腿浮腫 +4

合計点の解釈 (PE有病率)

0–3 点 : 低確率 (8–10%)

4–10 点 : 中間確率 (28%)

≧11 点 : 高確率 (72–75%)

※全項目1点化した簡易版も報告されている

エビデンス

開発・外部検証

965例の導出と756例の検証でAUC0.74、 低・中・高群のPE有病率は8%、 28%、 74%と良好な識別能を示した¹⁾。

簡易版 (sRGS)

全項目1点化したKlokらの研究 (1049例) でAUCは従来版と同等 (0.74) であり、 計算エラー低減が期待される²⁾。

本邦ガイドラインの記載

Well’sスコアやPERCルールとともに検査前確率評価の一つとして本ツールおよび、全項目1点の簡易版が紹介されている³⁾。

出典 : 2025年改訂版肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン³⁾

使用上の注意点

適用範囲 : 妊娠・周術期大量出血・ショックなど重症例、 すでに抗凝固中、 18歳未満では十分に検証されていない。

再現性 : 原著では観察者間一致を評価しておらず、 下肢痛・浮腫の判定は訓練でばらつき得る¹⁾

診断フロー : 低~中間群では高感度D‑ダイマー (年齢補正を含む) と組み合わせて画像検査を省略し得るが、 D‑ダイマー陰性でも臨床的疑念が高ければCTPAを考慮する。

出典

1) Prediction of pulmonary embolism in the emergency department: the revised Geneva score. Ann Intern Med. 2006 Feb 7;144(3):165-71. PMID: 16461960

2) Simplification of the revised Geneva score for assessing clinical probability of pulmonary embolism. Arch Intern Med. 2008 Oct 27;168(19):2131-6. PMID: 18955643

3) 日本循環器学会/日本肺高血圧・肺循環学会合同ガイドライン. 2025年改訂版肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン

最終更新 : 2025年4月20日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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