概要
計算
監修医師

HLₘとTTNₘとは?

hCG及びAFPのHLₘ (半減期; Half-Life of Marker) は腫瘍マーカーの減少速度を示し、 早期治療効果を評価する上で有用である。 一方、 TTNₘ (正常化までの推定時間; Time to Normalization of Marker) は、 マーカー値が正常範囲に達するまでの期間を予測し、 治療方針の決定に役立つ。 これらの指標は、 患者の予後を改善するための治療調整の指標として広く使用されている¹⁾。

半減期 HLₘの計算式

HLₘ=7×log2/slope (日)
slope=(logM₀-logM₁)/days
  • M₀:治療前のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • M₁:治療後のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • days:検査の間隔(週)

正常化までの推定時間 TTNₘの計算式

TTNₘ=days×(logM₀-logMₙ)/(logM₀-logM₁) (週)
  • M₀:治療前のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • M₁:治療後のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • Mₙ:hCGまたはAFP正常値 (通常10mIU/L)
  • days:検査間隔 [週]

エビデンス

Fizaziらは、 TTNが非セミノーマ性胚細胞腫瘍 (NSGCT) の患者において予後因子として有用であることを示した。 この研究では、 腫瘍マーカーの減少率が化学療法開始から早期 (3週間以内) に評価され、 進行および生存率に大きく関連していることが明らかになった。 特に、 IGCCCGのリスク分類に基づく悪性度が高い患者群で、 TTNが治療効果を予測する独立因子として重要であることが示されている¹⁾。

使用上の注意点

化学療法開始前および治療3週間後にhCGやAFPを測定することが推奨される。

hCGに関しては、 TTNₘ>6週 またはHLₘ>3.5日 が観察された場合、 治療強化を検討する。 なお、 治療開始後にAFPが一時的に上昇すること (AFP surge) があるため、 これを考慮して解釈する。

出典

1) Early predicted time to normalization of tumor markers predicts outcome in poor-prognosis nonseminomatous germ cell tumors. J Clin Oncol. 2004 Oct 1;22(19):3868-76. PMID: 15302906

最終更新日 : 2025年4月5日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

hCG・AFPの正常化までの理論時間と半減期
hCG・AFPの正常化までの理論時間と半減期
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hCG・AFPの正常化までの理論時間と半減期
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胚細胞腫瘍の治療効果指標 (TTN、HLₘ)
2025年04月05日更新
概要
計算

HLₘとTTNₘとは?

hCG及びAFPのHLₘ (半減期; Half-Life of Marker) は腫瘍マーカーの減少速度を示し、 早期治療効果を評価する上で有用である。 一方、 TTNₘ (正常化までの推定時間; Time to Normalization of Marker) は、 マーカー値が正常範囲に達するまでの期間を予測し、 治療方針の決定に役立つ。 これらの指標は、 患者の予後を改善するための治療調整の指標として広く使用されている¹⁾。

半減期 HLₘの計算式

HLₘ=7×log2/slope (日)
slope=(logM₀-logM₁)/days
  • M₀:治療前のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • M₁:治療後のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • days:検査の間隔(週)

正常化までの推定時間 TTNₘの計算式

TTNₘ=days×(logM₀-logMₙ)/(logM₀-logM₁) (週)
  • M₀:治療前のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • M₁:治療後のhCGまたはAFP [mIU/L]
  • Mₙ:hCGまたはAFP正常値 (通常10mIU/L)
  • days:検査間隔 [週]

エビデンス

Fizaziらは、 TTNが非セミノーマ性胚細胞腫瘍 (NSGCT) の患者において予後因子として有用であることを示した。 この研究では、 腫瘍マーカーの減少率が化学療法開始から早期 (3週間以内) に評価され、 進行および生存率に大きく関連していることが明らかになった。 特に、 IGCCCGのリスク分類に基づく悪性度が高い患者群で、 TTNが治療効果を予測する独立因子として重要であることが示されている¹⁾。

使用上の注意点

化学療法開始前および治療3週間後にhCGやAFPを測定することが推奨される。

hCGに関しては、 TTNₘ>6週 またはHLₘ>3.5日 が観察された場合、 治療強化を検討する。 なお、 治療開始後にAFPが一時的に上昇すること (AFP surge) があるため、 これを考慮して解釈する。

出典

1) Early predicted time to normalization of tumor markers predicts outcome in poor-prognosis nonseminomatous germ cell tumors. J Clin Oncol. 2004 Oct 1;22(19):3868-76. PMID: 15302906

最終更新日 : 2025年4月5日
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