EBMTの重症度分類 (2023) とは?

欧州造血細胞移植学会 (EBMT) が策定した、 成人の造血細胞移植 (HCT) 後の類洞閉塞症候群/肝中心静脈閉塞症 (SOS/VOD) の重症度分類である¹⁾。 重症度は mild / moderate / severe / very severe の4段階に分類される¹⁾。

2016年にEBMTが初版を策定し²⁾、 2023年の refined classification で多臓器障害 (MOD) の定義と運用が改訂された¹⁾。 早期の治療介入を要する患者を特定することを目的とする¹⁾²⁾。

評価項目

以下6項目を評価し、 2項目以上を満たす重症度に分類¹⁾。 2つの異なる重症度でそれぞれ2項目以上を満たす場合は、 より重症の方を採用する¹⁾。

VOD/SOSのEBMT重症度分類 (2023)
Bone Marrow Transplant. 2023;58(7):749-754. をもとに作表
「-」 は当該重症度に閾値が設定されていないことを示す¹⁾。 very severe の 「いつでも (any time) 」 は、 症状出現から診断までの期間を問わないことを意味する¹⁾。

注釈

6項目の閾値に加えて、 以下の2つの修飾ルールが適用される¹⁾。

リスク因子による繰り上げ = SOS/VODのリスク因子を2個以上有する場合は、 mild は moderate へ、 moderate は severe へ繰り上げる¹⁾²⁾。 リスク因子のみを理由に severe を very severe へ繰り上げることはしない²⁾。 very severe は所定の重症度項目またはMODにより判定する¹⁾

MODによる規定 = MODを有する患者は very severe に分類する

MODとは、 SOFAを構成する臓器系のうち2臓器以上において、 それぞれ臓器別SOFAスコアが ≧2点となる状態をいう¹⁾³⁾。 既存の臓器障害がある臓器については、 ベースラインから臓器別SOFAスコアが ≧2点悪化した場合を、 その臓器の障害として数える¹⁾。 いずれの場合も 「2臓器以上」 という要件は保たれ、 1臓器のみの悪化ではMODとしない¹⁾。

*移植後患者では血小板減少や高ビリルビン血症がもともと存在しやすい¹⁾。 EBMT 2023の原著は、 SOS/VODの診断時点では既に凝固障害を伴い血小板が低値であることが多いことから、 SOFA評価において凝固系 (血小板) は ≧2点の悪化がある場合にのみ算入すると規定している¹⁾。 日本の検証研究は、 この原典の規定を 「最良値 (best point) から SOFA ≧2点の悪化」 と具体化して運用したものである⁴⁾。

適用範囲

本分類はEBMT診断基準によりSOS/VODと診断された後に適用するものであり、 Probable / Clinical / Proven のいずれの診断確度に対しても適用できる¹⁾。

反復評価とgradeの区別

重症度は診断時に評価するだけでは足りない¹⁾。 経過中に増悪する患者が存在するため、 診断後も繰り返し評価する¹⁾。 重症度を示す際には 「診断時のgrade」 と 「経過中の最高grade」 のいずれであるかを明示する必要がある¹⁾。

日本の単施設後ろ向き研究 (成人141例・同種HSCT 161件) では、 SOFAスコアで推定したMODの存在が予後を有意に予測し、 とくに経過中に出現したMODは診断時のMODよりも予後をより明瞭に予測した⁴⁾。 同研究は、 SOS/VODの重症度評価を診断後に繰り返すべきであると結論している⁴⁾。

エビデンス

2016年版からの変更点

主な変更点は以下のとおり¹⁾²⁾。

体重増加の閾値 = 2016年版は mild <5% / moderate ≧5%かつ<10% / severe ≧5%かつ<10% であったが、 2023年版は mild・moderate に閾値が置かれず、 severe が ≧5% (上限の制約なし) となった

腎機能の閾値 = 2016年版は mild <1.2倍 / moderate ≧1.2倍かつ<1.5倍 であったが、 2023年版は mild 移植時のベースライン / moderate <1.5倍 となり、 下限の制約が外れた

総ビリルビン (μmol/L) 行の削除 = 2016年版に併記されていた μmol/L の行が2023年版では掲載されず、 mg/dL のみとなった

very severe 列の期間 = 両版とも 「いつでも (any time) 」 であり、 閾値なしではない

体重増加の条件付き脚注の削除 = 2016年版にあった 「≧5%かつ<10% は既定では severe だが、 他に severe の基準を満たさなければ moderate とする」 という脚注が2023年版で削除された

MODの定義 = 2016年版は多臓器障害と多臓器不全を併記した定性的な概念を用い、 腎・肺・中枢神経の3臓器を個別のカットオフで規定していた²⁾。 2023年版はMODの語に一本化したうえで、 SOFAスコアに基づく定量的な定義を与えた¹⁾³⁾

適用範囲・評価タイミングの明確化 = Probable / Clinical / Proven のいずれにも適用すること、 経過中に繰り返し評価すること、 「診断時のgrade」 と 「経過中の最高grade」 を区別することが明記された

リスク因子の再整理 = リスク因子が是正可能なもの (modifiable) と是正不能なもの (unmodifiable) の2分類に再整理され⁶⁾、 高用量トレオスルファン (treosulfan) が追加された

SOSのリスク因子

リスク因子を2個以上有する場合は、 mild は moderate へ、 moderate は severe へ繰り上げる¹⁾²⁾。 リスク因子のみを理由に severe を very severe へ繰り上げることはしない²⁾。 以下のリスク因子は、 2023年版で示された是正不能なもの (unmodifiable) と是正可能なもの (modifiable) の2分類に従って整理した¹⁾⁶⁾。

是正不能な因子 (unmodifiable)

  • 高齢者
  • Karnofskyスコア <90%
  • メタボリックシンドローム
  • ノルエチステロン (黄体ホルモン) 服用女性
  • 原疾患が進行 (第2寛解を超える病期 (CR3以降) または再発)
  • 遺伝学的因子 (GSTM1多型、 C282Yアレル、 MTHFR 677CC / 1298CCハプロタイプ)
  • 2回目のHSCT
  • 一次性免疫不全症の診断
  • 血清トランスアミナーゼ高値
  • トランスアミナーゼ >2.5ULN
  • 血清ビリルビン >26 μmol/L (約1.5 mg/dL)
  • 既存肝疾患 (肝線維症、 肝硬変、 活動性ウイルス性肝炎)
  • 腹部または肝臓への放射線照射
  • ゲムツズマブオゾガマイシン (マイロターグ) またはイノツズマブオゾガマイシン (ベスポンサ) の投与歴あり
  • 肝毒性を有する薬剤の投与歴あり
  • 鉄過剰 (>1,000 ng/mL)

是正可能な因子 (modifiable)

  • 非血縁ドナー
  • HLA型不一致ドナー
  • T細胞を除去しないHSCT法
  • 骨髄破壊的前処置
  • 経口または高用量ブスルファンを使用する前処置
  • 高用量トレオスルファン (treosulfan) を使用する前処置
  • 高用量全身放射線療法による前処置
  • GVHD予防 : シロリムス+メトトレキサート+タクロリムス
  • GVHD予防 : メトトレキサート+シクロスポリンまたはタクロリムス
  • 経静脈栄養 (非経口栄養) の使用

分類の記載がない因子

  • サラセミア
*高用量トレオスルファンは、 ブスルファンと同様に追加のエビデンスが得られるまでリスク因子として扱うことが提案されている¹⁾。 一方でEBMT Handbookの小児に関する記載では類洞内皮への影響がより小さいとされているが⁶⁾、 これは小児データに基づく記述であり、 成人におけるリスクの大きさが確立しているわけではない。
*原表では 「血清トランスアミナーゼ高値」 と 「トランスアミナーゼ >2.5ULN」 が別項目として掲げられているが、 同一患者でこれらを2因子として二重計数しない⁶⁾。 また 「既存肝疾患 (肝線維症、 肝硬変、 活動性ウイルス性肝炎) 」 は原表上1グループであり、 個々の所見を別々のリスク因子として数えない⁶⁾。
*サラセミアは2016年版²⁾ で挙げられた因子だが、 2023年版の成人リスク因子表には掲載されていない⁶⁾。 modifiable / unmodifiable のいずれに属するかを原典で確認できないため 「分類の記載がない因子」 として記載を維持しているが、 本ツールではリスク因子2個以上の判定には算入しない⁶⁾。
*血清ビリルビンの閾値について、 2023年の原表は 「>1.5 mg/L (>26 μmol/L) 」 と記載しているが、 26 μmol/L は約1.5 mg/dL に相当し、 併記された換算値と一致しないため mg/dL の誤植が疑われる⁶⁾。 正式な訂正文献は確認されていない。 なお2015年のEBMT position statement では肝関連リスク因子として血清ビリルビン >1.5×ULN が示されているが、 これは旧版の表現であり2023年表の絶対値と混在させない。

注意事項

本分類はEBMT専門家グループによる提案であり、 2023年の改訂時に各カットオフが新規の前向きコホートから導出されたとは記載されていない¹⁾²⁾。 バイオマーカーや新しい画像診断法との関係は十分に検証されておらず、 本分類が確定的なものであるとは限らない¹⁾²⁾。

移植当日のEASIX (EASIX-d0) はSOS/VODの高リスク群を同定する有望なバイオマーカーとされるが、 確立されたリスク因子や重症度との相関を解析する研究が必要な段階であり、 日常診療への実装方法はこれから確立される⁶⁾。

MODの判定にはSOFAスコアの評価を要する¹⁾。 SOFAスコアが日常的に算出されていない環境では、 EBMT 2023に準拠したMOD判定が不完全となり、 MODを経由する very severe を過小評価する可能性がある¹⁾³⁾。

2023年版の外部検証は日本の単施設後ろ向き研究 (成人141例・同種HSCT 161件) ⁴⁾ など限られており、 外的妥当性は限定的である⁴⁾。 国内では日本造血・免疫細胞療法学会の 『造血細胞移植ガイドライン SOS/TA-TMA』 第2版 (2022年1月) が最新であり、 2023年の改訂内容は反映されていない⁷⁾。

本分類は成人を対象とする¹⁾。 小児には2018年のpEBMT基準 (別体系) を用いる⁵⁾。

関連コンテンツ

肝中心静脈閉塞症 (VOD/SOS)

🔢 VOD/SOSの修正シアトル基準

🔢 VOD/SOSのボルチモア基準

🔢 VOD/SOSのEBMT診断基準 (2023年改訂版)

🔢 VOD/SOSのHokUS-10

出典

1) Mohty M, et al. Bone Marrow Transplant. 2023;58(7):749-754.

2) Mohty M, et al. Bone Marrow Transplant. 2016;51(7):906-912.

3) Vincent JL, et al. Intensive Care Med. 1996;22(7):707-710.

4) Ichikawa H, et al. Bone Marrow Transplant. 2024;59(4):518-525.

5) Corbacioglu S, et al. Bone Marrow Transplant. 2018;53(2):138-145.

6) The EBMT Handbook. 8th ed. Chapter 49, Hepatic Complications. 2024. (CC BY 4.0 に基づき日本語に翻訳・再構成のうえ利用)

7) 日本造血・免疫細胞療法学会. 造血細胞移植ガイドライン SOS/TA-TMA 第2版. 2022.

最終更新 : 2026年9月1日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

VOD/SOSのEBMT重症度分類 (2023)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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VOD/SOSのEBMT重症度分類 (2023)
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肝中心静脈閉塞症の重症度分類 (2023年改訂版)
2026年09月03日更新

EBMTの重症度分類 (2023) とは?

欧州造血細胞移植学会 (EBMT) が策定した、 成人の造血細胞移植 (HCT) 後の類洞閉塞症候群/肝中心静脈閉塞症 (SOS/VOD) の重症度分類である¹⁾。 重症度は mild / moderate / severe / very severe の4段階に分類される¹⁾。

2016年にEBMTが初版を策定し²⁾、 2023年の refined classification で多臓器障害 (MOD) の定義と運用が改訂された¹⁾。 早期の治療介入を要する患者を特定することを目的とする¹⁾²⁾。

評価項目

以下6項目を評価し、 2項目以上を満たす重症度に分類¹⁾。 2つの異なる重症度でそれぞれ2項目以上を満たす場合は、 より重症の方を採用する¹⁾。

VOD/SOSのEBMT重症度分類 (2023)
Bone Marrow Transplant. 2023;58(7):749-754. をもとに作表
「-」 は当該重症度に閾値が設定されていないことを示す¹⁾。 very severe の 「いつでも (any time) 」 は、 症状出現から診断までの期間を問わないことを意味する¹⁾。

注釈

6項目の閾値に加えて、 以下の2つの修飾ルールが適用される¹⁾。

リスク因子による繰り上げ = SOS/VODのリスク因子を2個以上有する場合は、 mild は moderate へ、 moderate は severe へ繰り上げる¹⁾²⁾。 リスク因子のみを理由に severe を very severe へ繰り上げることはしない²⁾。 very severe は所定の重症度項目またはMODにより判定する¹⁾

MODによる規定 = MODを有する患者は very severe に分類する

MODとは、 SOFAを構成する臓器系のうち2臓器以上において、 それぞれ臓器別SOFAスコアが ≧2点となる状態をいう¹⁾³⁾。 既存の臓器障害がある臓器については、 ベースラインから臓器別SOFAスコアが ≧2点悪化した場合を、 その臓器の障害として数える¹⁾。 いずれの場合も 「2臓器以上」 という要件は保たれ、 1臓器のみの悪化ではMODとしない¹⁾。

*移植後患者では血小板減少や高ビリルビン血症がもともと存在しやすい¹⁾。 EBMT 2023の原著は、 SOS/VODの診断時点では既に凝固障害を伴い血小板が低値であることが多いことから、 SOFA評価において凝固系 (血小板) は ≧2点の悪化がある場合にのみ算入すると規定している¹⁾。 日本の検証研究は、 この原典の規定を 「最良値 (best point) から SOFA ≧2点の悪化」 と具体化して運用したものである⁴⁾。

適用範囲

本分類はEBMT診断基準によりSOS/VODと診断された後に適用するものであり、 Probable / Clinical / Proven のいずれの診断確度に対しても適用できる¹⁾。

反復評価とgradeの区別

重症度は診断時に評価するだけでは足りない¹⁾。 経過中に増悪する患者が存在するため、 診断後も繰り返し評価する¹⁾。 重症度を示す際には 「診断時のgrade」 と 「経過中の最高grade」 のいずれであるかを明示する必要がある¹⁾。

日本の単施設後ろ向き研究 (成人141例・同種HSCT 161件) では、 SOFAスコアで推定したMODの存在が予後を有意に予測し、 とくに経過中に出現したMODは診断時のMODよりも予後をより明瞭に予測した⁴⁾。 同研究は、 SOS/VODの重症度評価を診断後に繰り返すべきであると結論している⁴⁾。

エビデンス

2016年版からの変更点

主な変更点は以下のとおり¹⁾²⁾。

体重増加の閾値 = 2016年版は mild <5% / moderate ≧5%かつ<10% / severe ≧5%かつ<10% であったが、 2023年版は mild・moderate に閾値が置かれず、 severe が ≧5% (上限の制約なし) となった

腎機能の閾値 = 2016年版は mild <1.2倍 / moderate ≧1.2倍かつ<1.5倍 であったが、 2023年版は mild 移植時のベースライン / moderate <1.5倍 となり、 下限の制約が外れた

総ビリルビン (μmol/L) 行の削除 = 2016年版に併記されていた μmol/L の行が2023年版では掲載されず、 mg/dL のみとなった

very severe 列の期間 = 両版とも 「いつでも (any time) 」 であり、 閾値なしではない

体重増加の条件付き脚注の削除 = 2016年版にあった 「≧5%かつ<10% は既定では severe だが、 他に severe の基準を満たさなければ moderate とする」 という脚注が2023年版で削除された

MODの定義 = 2016年版は多臓器障害と多臓器不全を併記した定性的な概念を用い、 腎・肺・中枢神経の3臓器を個別のカットオフで規定していた²⁾。 2023年版はMODの語に一本化したうえで、 SOFAスコアに基づく定量的な定義を与えた¹⁾³⁾

適用範囲・評価タイミングの明確化 = Probable / Clinical / Proven のいずれにも適用すること、 経過中に繰り返し評価すること、 「診断時のgrade」 と 「経過中の最高grade」 を区別することが明記された

リスク因子の再整理 = リスク因子が是正可能なもの (modifiable) と是正不能なもの (unmodifiable) の2分類に再整理され⁶⁾、 高用量トレオスルファン (treosulfan) が追加された

SOSのリスク因子

リスク因子を2個以上有する場合は、 mild は moderate へ、 moderate は severe へ繰り上げる¹⁾²⁾。 リスク因子のみを理由に severe を very severe へ繰り上げることはしない²⁾。 以下のリスク因子は、 2023年版で示された是正不能なもの (unmodifiable) と是正可能なもの (modifiable) の2分類に従って整理した¹⁾⁶⁾。

是正不能な因子 (unmodifiable)

  • 高齢者
  • Karnofskyスコア <90%
  • メタボリックシンドローム
  • ノルエチステロン (黄体ホルモン) 服用女性
  • 原疾患が進行 (第2寛解を超える病期 (CR3以降) または再発)
  • 遺伝学的因子 (GSTM1多型、 C282Yアレル、 MTHFR 677CC / 1298CCハプロタイプ)
  • 2回目のHSCT
  • 一次性免疫不全症の診断
  • 血清トランスアミナーゼ高値
  • トランスアミナーゼ >2.5ULN
  • 血清ビリルビン >26 μmol/L (約1.5 mg/dL)
  • 既存肝疾患 (肝線維症、 肝硬変、 活動性ウイルス性肝炎)
  • 腹部または肝臓への放射線照射
  • ゲムツズマブオゾガマイシン (マイロターグ) またはイノツズマブオゾガマイシン (ベスポンサ) の投与歴あり
  • 肝毒性を有する薬剤の投与歴あり
  • 鉄過剰 (>1,000 ng/mL)

是正可能な因子 (modifiable)

  • 非血縁ドナー
  • HLA型不一致ドナー
  • T細胞を除去しないHSCT法
  • 骨髄破壊的前処置
  • 経口または高用量ブスルファンを使用する前処置
  • 高用量トレオスルファン (treosulfan) を使用する前処置
  • 高用量全身放射線療法による前処置
  • GVHD予防 : シロリムス+メトトレキサート+タクロリムス
  • GVHD予防 : メトトレキサート+シクロスポリンまたはタクロリムス
  • 経静脈栄養 (非経口栄養) の使用

分類の記載がない因子

  • サラセミア
*高用量トレオスルファンは、 ブスルファンと同様に追加のエビデンスが得られるまでリスク因子として扱うことが提案されている¹⁾。 一方でEBMT Handbookの小児に関する記載では類洞内皮への影響がより小さいとされているが⁶⁾、 これは小児データに基づく記述であり、 成人におけるリスクの大きさが確立しているわけではない。
*原表では 「血清トランスアミナーゼ高値」 と 「トランスアミナーゼ >2.5ULN」 が別項目として掲げられているが、 同一患者でこれらを2因子として二重計数しない⁶⁾。 また 「既存肝疾患 (肝線維症、 肝硬変、 活動性ウイルス性肝炎) 」 は原表上1グループであり、 個々の所見を別々のリスク因子として数えない⁶⁾。
*サラセミアは2016年版²⁾ で挙げられた因子だが、 2023年版の成人リスク因子表には掲載されていない⁶⁾。 modifiable / unmodifiable のいずれに属するかを原典で確認できないため 「分類の記載がない因子」 として記載を維持しているが、 本ツールではリスク因子2個以上の判定には算入しない⁶⁾。
*血清ビリルビンの閾値について、 2023年の原表は 「>1.5 mg/L (>26 μmol/L) 」 と記載しているが、 26 μmol/L は約1.5 mg/dL に相当し、 併記された換算値と一致しないため mg/dL の誤植が疑われる⁶⁾。 正式な訂正文献は確認されていない。 なお2015年のEBMT position statement では肝関連リスク因子として血清ビリルビン >1.5×ULN が示されているが、 これは旧版の表現であり2023年表の絶対値と混在させない。

注意事項

本分類はEBMT専門家グループによる提案であり、 2023年の改訂時に各カットオフが新規の前向きコホートから導出されたとは記載されていない¹⁾²⁾。 バイオマーカーや新しい画像診断法との関係は十分に検証されておらず、 本分類が確定的なものであるとは限らない¹⁾²⁾。

移植当日のEASIX (EASIX-d0) はSOS/VODの高リスク群を同定する有望なバイオマーカーとされるが、 確立されたリスク因子や重症度との相関を解析する研究が必要な段階であり、 日常診療への実装方法はこれから確立される⁶⁾。

MODの判定にはSOFAスコアの評価を要する¹⁾。 SOFAスコアが日常的に算出されていない環境では、 EBMT 2023に準拠したMOD判定が不完全となり、 MODを経由する very severe を過小評価する可能性がある¹⁾³⁾。

2023年版の外部検証は日本の単施設後ろ向き研究 (成人141例・同種HSCT 161件) ⁴⁾ など限られており、 外的妥当性は限定的である⁴⁾。 国内では日本造血・免疫細胞療法学会の 『造血細胞移植ガイドライン SOS/TA-TMA』 第2版 (2022年1月) が最新であり、 2023年の改訂内容は反映されていない⁷⁾。

本分類は成人を対象とする¹⁾。 小児には2018年のpEBMT基準 (別体系) を用いる⁵⁾。

関連コンテンツ

肝中心静脈閉塞症 (VOD/SOS)

🔢 VOD/SOSの修正シアトル基準

🔢 VOD/SOSのボルチモア基準

🔢 VOD/SOSのEBMT診断基準 (2023年改訂版)

🔢 VOD/SOSのHokUS-10

出典

1) Mohty M, et al. Bone Marrow Transplant. 2023;58(7):749-754.

2) Mohty M, et al. Bone Marrow Transplant. 2016;51(7):906-912.

3) Vincent JL, et al. Intensive Care Med. 1996;22(7):707-710.

4) Ichikawa H, et al. Bone Marrow Transplant. 2024;59(4):518-525.

5) Corbacioglu S, et al. Bone Marrow Transplant. 2018;53(2):138-145.

6) The EBMT Handbook. 8th ed. Chapter 49, Hepatic Complications. 2024. (CC BY 4.0 に基づき日本語に翻訳・再構成のうえ利用)

7) 日本造血・免疫細胞療法学会. 造血細胞移植ガイドライン SOS/TA-TMA 第2版. 2022.

最終更新 : 2026年9月1日
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