概要
計算
監修医師

TRAKJAKスコアとは?

TRAKJAKスコアは、 2025年に Rivière らにより開発され、 JAK2変異検査の適応を効率的に選別することを目的とした、 血算のパラメータのみで真性多血症 (PV) の可能性を予測するスコアリングシステムである¹⁾。

PV : polycythemia vera

計算方法

各項目1点でそれらを合計する。

- 赤血球数 ≧657万/μL +1

- 好塩基球数 ≧100/μL +1

- 血小板数 ≧30万/μL +1

結果の解釈

スコアが1点以上でTRAKJAK陽性と判定する¹⁾。 1点以上で感度98%、 特異度89%、 陽性的中率94%、 陰性的中率 95%であった。

0点: PV の可能性は低く、 JAK2変異検査の省略を検討可能 (陰性的中率95%)。 二次性赤血球増加症の精査を優先する。

1点: PVを疑ってJAK2変異検査を推奨する。

≧2点: 陽性的中率 100%であり、 PV の可能性が極めて高い¹⁾。

エビデンス

オリジナル文献

Rivièreらは、 導出コホートでは低EPO (<3.3 IU/L) を伴う赤血球増加症患者を対象に後方視的研究を実施した。 導出コホート134例 (PV 96例、 非PV 38例) と検証コホート65例 (PV 33例、 非PV 32例) で TRAKJAK スコアを開発・検証した。 多変量ロジスティック回帰により 赤血球数、 好塩基球、 血小板の3パラメータが選択された¹⁾。

診断精度

統合コホート (n = 199) における診断精度は、 感度 98%、 特異度 89%、 陽性的中率 94%、 陰性的中率 95%であった。 偽陰性率は1.5% (PV 患者3例が TRAKJAK 0点)、 偽陽性率は4.0%であった。 TRAKJAK の使用により、 最終的に PV でなかった70例中62例 (88%) で不要な JAK2変異検査を回避できた可能性がある¹⁾。

他スコアとの比較

Chin-Yee らが2023年に開発した JAKPOT スコア (赤血球数、 好中球、 血小板を使用) ²⁾と比較した結果、 TRAKJAK は特異度・陽性的中率・陰性的中率のいずれも優れており、 偽陽性率も JAKPOT の19%に対し TRAKJAK は4%と低かった¹⁾。

使用上の注意点

単施設の後方視的研究に基づくスコア

TRAKJAK は単施設 (ボルドー大学病院) のデータで開発・検証されたスコアであり、 外部コホートや多施設での大規模前方視的検証は未実施である。 今後のバリデーション結果に注意が必要である¹⁾。

臨床判断の代替ではない

TRAKJAK はあくまで JAK2変異検査のスクリーニング補助ツールであり、 臨床判断に代わるものではない。 スコア 0点でも臨床的に PV が疑われる場合は JAK2検査を実施すべきである¹⁾。

日本でのバリデーションは未実施

日本人集団における大規模検証は報告されていない。 血算の基準値や PV の有病率が異なる可能性があるため、 日本での適用にあたっては閾値の妥当性に留意する必要がある。

masked PV への対応

血液希釈により CBC パラメータが正常範囲内に収まる masked PV では、 TRAKJAK が偽陰性となる可能性がある。 門脈血栓症などの内臓静脈血栓症を伴う症例では特に注意が必要である¹⁾。

出典

1) TRAKJAK: a complete blood count-based prediction of polycythemia vera at initial erythrocytosis workup to reduce financial and ecological costs. Am J Med. 2026;139(3):350-360. PMID: 41109612

2) A rational approach to JAK2 mutation testing in patients with elevated hemoglobin: results from the JAK2 prediction cohort (JAKPOT) study. J Gen Intern Med. 2023;38(8):1828-1833. PMID: 36451015

最終更新 : 2026年4月13日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

TRAKJAKスコア
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真性多血症の予測スコア
2026年04月13日更新
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TRAKJAKスコアとは?

TRAKJAKスコアは、 2025年に Rivière らにより開発され、 JAK2変異検査の適応を効率的に選別することを目的とした、 血算のパラメータのみで真性多血症 (PV) の可能性を予測するスコアリングシステムである¹⁾。

PV : polycythemia vera

計算方法

各項目1点でそれらを合計する。

- 赤血球数 ≧657万/μL +1

- 好塩基球数 ≧100/μL +1

- 血小板数 ≧30万/μL +1

結果の解釈

スコアが1点以上でTRAKJAK陽性と判定する¹⁾。 1点以上で感度98%、 特異度89%、 陽性的中率94%、 陰性的中率 95%であった。

0点: PV の可能性は低く、 JAK2変異検査の省略を検討可能 (陰性的中率95%)。 二次性赤血球増加症の精査を優先する。

1点: PVを疑ってJAK2変異検査を推奨する。

≧2点: 陽性的中率 100%であり、 PV の可能性が極めて高い¹⁾。

エビデンス

オリジナル文献

Rivièreらは、 導出コホートでは低EPO (<3.3 IU/L) を伴う赤血球増加症患者を対象に後方視的研究を実施した。 導出コホート134例 (PV 96例、 非PV 38例) と検証コホート65例 (PV 33例、 非PV 32例) で TRAKJAK スコアを開発・検証した。 多変量ロジスティック回帰により 赤血球数、 好塩基球、 血小板の3パラメータが選択された¹⁾。

診断精度

統合コホート (n = 199) における診断精度は、 感度 98%、 特異度 89%、 陽性的中率 94%、 陰性的中率 95%であった。 偽陰性率は1.5% (PV 患者3例が TRAKJAK 0点)、 偽陽性率は4.0%であった。 TRAKJAK の使用により、 最終的に PV でなかった70例中62例 (88%) で不要な JAK2変異検査を回避できた可能性がある¹⁾。

他スコアとの比較

Chin-Yee らが2023年に開発した JAKPOT スコア (赤血球数、 好中球、 血小板を使用) ²⁾と比較した結果、 TRAKJAK は特異度・陽性的中率・陰性的中率のいずれも優れており、 偽陽性率も JAKPOT の19%に対し TRAKJAK は4%と低かった¹⁾。

使用上の注意点

単施設の後方視的研究に基づくスコア

TRAKJAK は単施設 (ボルドー大学病院) のデータで開発・検証されたスコアであり、 外部コホートや多施設での大規模前方視的検証は未実施である。 今後のバリデーション結果に注意が必要である¹⁾。

臨床判断の代替ではない

TRAKJAK はあくまで JAK2変異検査のスクリーニング補助ツールであり、 臨床判断に代わるものではない。 スコア 0点でも臨床的に PV が疑われる場合は JAK2検査を実施すべきである¹⁾。

日本でのバリデーションは未実施

日本人集団における大規模検証は報告されていない。 血算の基準値や PV の有病率が異なる可能性があるため、 日本での適用にあたっては閾値の妥当性に留意する必要がある。

masked PV への対応

血液希釈により CBC パラメータが正常範囲内に収まる masked PV では、 TRAKJAK が偽陰性となる可能性がある。 門脈血栓症などの内臓静脈血栓症を伴う症例では特に注意が必要である¹⁾。

出典

1) TRAKJAK: a complete blood count-based prediction of polycythemia vera at initial erythrocytosis workup to reduce financial and ecological costs. Am J Med. 2026;139(3):350-360. PMID: 41109612

2) A rational approach to JAK2 mutation testing in patients with elevated hemoglobin: results from the JAK2 prediction cohort (JAKPOT) study. J Gen Intern Med. 2023;38(8):1828-1833. PMID: 36451015

最終更新 : 2026年4月13日
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