大動脈転位(D-TGA)胎児において、右心室(RV)および左心室(LV)の心内膜のスペックルトラッキング解析を用いて、心室のサイズ、形状、収縮力を評価し、出生後に緊急バルーン心房中隔切除術(BAS)が必要となる胎児を特定した。D-TGAの39人の胎児のうち、55%が緊急の新生児BASを必要とし、45%はそうでなかった。スペックルトラッキング解析により、新生児緊急BASを実施した胎児と実施しなかった胎児の間で、RVとLVのサイズ、形状、収縮力に測定可能な差が確認された。

この研究では、スペックルトラッキング解析を用いてD-TGA胎児の心室の評価を行い、新生児緊急BASの必要性を予測することができた。しかし、レトロスペクティブ解析であるため、偽陽性率や偽陰性率に注意が必要である。今後の研究で、より大規模なサンプルやプロスペクティブ解析が望まれる。