HOKUTO通信
21日前
厚生労働省が3月に公表した 「令和4年賃金構造基本統計調査」 から、 都道府県別の医師年収の最新データが明らかになりました。 1位が想定外だったため、 厚労省の担当部署に理由を聞くと、 これまた意外な回答が返ってきました。
この調査は国の基幹統計の一つで、 主要産業における労働者の賃金実態を明らかにするため、 毎年実施しています。 都道府県や産業別、 事業所規模別に区分し、 それぞれの区分での必要数を無作為抽出。 今回は、 無作為抽出された約7万9000事業所のうち約5万5000事業所から有効回答を得ています (有効回答率70.5%)。
HOKUTO編集部は、 このデータを基に医師の都道府県別年収を算出しました。 算出方法は (毎月決まって支給する現金給与額) × 12か月 + (年間賞与その他特別給与額) です。 結果が以下の表です。
対象となった医師の平均年齢は44.1歳、 平均勤続年数は6.2年で、 全国平均は年収1423万円となりました。 トップ3は千葉2129万円、 山口1971万円、 秋田1927万円。 一方、ワースト3は、 和歌山922万円、 山形1050万円、 福岡1094万円。 トップ3とワースト3ではおおよそ2倍の差がありました。
千葉は人口約630万人で全国6番目。 一方、 人口10万人当たりの医師数 (2020年) は205.8人で、 全国平均(256.6人)を大幅に下回る43番目です。 こういった医師の需給ギャップが調査に一定程度反映されていると考えられますが、 違和感はぬぐえません。
厚労省の賃金福祉統計室に取材すると、 「全数調査ではないので、 どうしてもガタツキは出ます」 と、 自ら 「ザル調査」 と認めるような答えが返ってきた。
どういうことか。 調査は事業所を無作為抽出した後、 雇用する労働者が30人未満の場合は全員アンケート対象となるが、 労働者が多いとさらに対象を抽出することになる。 その場合、 事業所内で職種 (病院では医師、 看護師など)や年齢などをどうばらけさせるかは事業所側が差配し、 厚労省から指定はできないという。
結果は、 抽出率 (労働者のうち調査対象となった人の割合) に応じて復元される。 つまり、「例えば給与の高い部長クラスがたまたま多く抽出されると、 当然給与が高くなる」 といい、 「来年は別の都道府県がトップになる可能性は十分ある」 というのだ。
そう言われて過去の調査をみてみると、 確かに千葉は全国の真ん中くらいの順位だったこともある。 そんな調査に意味があるのだろうか。 担当者は 「毎年行っているものなので、 特定の年を点でみる場合、 あくまで参考数値として考えてほしい」 としている。
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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