【NCCNガイドライン】濾胞性リンパ腫の最新治療戦略
著者

HOKUTO編集部

23日前

【NCCNガイドライン】濾胞性リンパ腫の最新治療戦略

【NCCNガイドライン】濾胞性リンパ腫の最新治療戦略
2025年、 抗CD20/CD3二重特異性抗体 (BsAb) エプコリタマブ、 モスネツズマブが濾胞性リンパ腫 (FL) に対して日本で承認され、 再発・難治性FLに対する新たな治療選択肢が加わった。 現在は、 CD19を標的とする抗体治療や抗体薬物複合体 (ADC) も注目されており、 今回のNCCNガイドライン (Version 2.2025) では、 そうしたCD19標的の新規レジメンが追加された。 本記事では、 Version 1.2025からの改訂ポイントにフォーカスし、 実臨床に役立つ視点から要点を整理する。 
本稿はNCCNガイドライン Version 2.2025を基に作成しています (閲覧日 : 2025年4月2日)

解説医師

【NCCNガイドライン】濾胞性リンパ腫の最新治療戦略

改訂のポイント

以下のCD19標的治療が治療選択肢に新規追加

  • tafasitamab+レナリドミド+リツキシマブ
  • loncastuximab tesirine+リツキシマブ

診断と病期分類

FLはグレード (1~3B) と病期 (I~IV) に応じて治療方針が異なる。

  • FLグレード1~2・3Aは 「classic FL」 として、 低悪性度リンパ腫として管理
  • FLグレード3BまたはDLBCL成分を伴う場合は、 DLBCLとして管理

また、 PET/CTによる評価は治療方針決定および治療効果判定に用いられ、 必要に応じて再生検を推奨している。

初発時の治療方針

ステージI~II (限局期)

  • ISRT (病巣部放射線治療) が推奨される第一選択 (特にグレード1–2)
  • 状況に応じて抗CD20抗体±化学療法またはアクティブサーベイランスも選択肢
  • サーベイランスは、 ISRTや化学療法の毒性が臨床的利益を上回る場合に適応

ステージIII~IV (進行期)

  • 無症候性・低腫瘍量の場合はアクティブサーベイランス (カテゴリー1)
  • 治療適応となる場合 : GELF基準で腫瘍量を評価

FLの腫瘍量評価ツール

🔢 GELF規準

🔢 BNLI規準

推奨レジメンは以下の通り。

一部、 日本の承認状況と異なる点に注意。
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参考文献¹⁾を基に編集部作成

再発時・難治性の治療方針

CARーT細胞療法、 BsAbは3次治療以降の推奨治療である。

2次治療

今回の改訂から、 抗CD19抗体tafasitamabを含む併用療法が推奨レジメンに新たに追加された。 CD19を標的とする治療であるため、 後続のCAR-T細胞療法の効果に影響を与える可能性があり、 治療順序に注意が必要である。

推奨レジメンは以下の通り。

一部、 日本の承認状況と異なる点に注意。
【NCCNガイドライン】濾胞性リンパ腫の最新治療戦略
参考文献¹⁾を基に編集部作成

3次治療以降

未使用の2次治療レジメンに加えて、 CAR-T細胞療法やBsAb (エプコリタマブ、 モスネツズマブ) が推奨されている。

また、 新たな選択肢としてCD19標的ADCであるloncastuximab tesirine+リツキシマブが追加された。 tafasitamabと同様に、 これらCD19標的治療は後続のCAR-T細胞療法の効果に影響を与える可能性があるため、 留意が必要である。

治療効果判定とフォローアップ

  • PET/CTに基づくLugano基準を用いて治療効果を判定
  • 完全寛解 (CR) であっても、 サーベイランス目的の画像検査は以下の頻度で実施
  • 治療終了から2年目までは6ヵ月ごと
  • 2年以降は年1回以下
  • 進行例では、 再発や形質転換の評価のため再生検を強く推奨
  • 部分寛解 (PR) かつPET陽性の場合、 PFS (無増悪生存期間) の短縮と関連するが、 追加治療の有効性は現時点では確立していない

出典

  1. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®), B-Cell Lymphomas, Version 2.2025 — February 10, 2025

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GB (OB)

BR (RB)

R-CHOP

Epcoritamab

Mosunetuzumab

LEN+RIT (R2)

G-CHOP/CVP

Tazemetostat

Tisa-Cel (Tisagen lecleucel)

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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