新薬承認情報
29日前
医薬品医療機器総合機構 (PMDA) は、 2025年3月に22種類の医薬品が厚生労働省から承認を受けたと発表した (うち新規有効成分7剤)。
グセルクマブ (トレムフィア®) は、 IL-23のp19サブユニットとCD64の双方を標的とする二重作用の抗IL-23p19抗体であり、 中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する寛解導入および維持療法として承認された。
今回の承認は、 従来治療や生物学的製剤、 JAK阻害薬に不応または不耐の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、 寛解導入後の皮下維持療法を実施した国際第IIb/III相試験QUASARの結果に基づく。 44週時点の臨床的寛解率は100mg群で45%、 200mg群で50%、 プラセボ群で19%、 1年時点の内視鏡的寛解率はそれぞれ35%、 34%、 15%であった。 安全性プロファイルは既承認の適応症のものと一貫していた。
抗IL-23p19抗体ミリキズマブ (オンボー®) は、 既存治療で効果不十分な中等症~重症の活動期クローン病に対する治療薬として追加承認された。 今回の承認は、 国際第III相試験VIVID-1および長期継続試験VIVID-2の成績に基づく。
VIVID-1試験では、 既存治療に不応または不耐の成人クローン病患者を対象とし、 主要評価項目でプラセボに対する統計学的有意差が確認された。 なお、 同薬はすでに潰瘍性大腸炎で承認されており、 今回の追加により炎症性腸疾患 (IBD) の双方に使用可能な薬剤となった。
抗PD-1抗体チスレリズマブ (テビムブラ®) は、 根治切除不能な進行・再発の食道癌に対して国内承認を取得した。 今回の承認は、 化学療法歴のない進行・再発の食道扁平上皮癌 (ESCC) を対象に、 化学療法歴の有無で層別化された2件の国際第III相試験RATIONALE-306およびRATIONALE-302に基づく。
RATIONALE-306試験では、 チスレリズマブ+化学療法併用群はプラセボ+化学療法併用群に比べ全生存期間 (OS) が有意に改善した。 また、 RATIONALE-302試験では、 担当医師選択の化学療法群と比較し、 チスレリズマブ単剤投与群でOSが有意に改善した。
マラリキシバット (リブマーリ®) は、 小腸での胆汁酸再吸収を阻害する回腸胆汁酸トランスポーター阻害薬であり、 胆汁酸の体内蓄積を抑制することで胆汁うっ滞に伴うそう痒を軽減する。 アラジール症候群 (ALGS) および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症 (PFIC) におけるそう痒に対して国内で初めて承認された。
今回の承認は、 ALGSを対象とした国内第III相試験TAK-625-3001、 PFICを対象とした国内第III相試験TAK-625-3002、 ならびに海外で実施された複数の試験結果に基づく。
同薬はすでに米国、 欧州を含む多数の国で承認されており、 今回の国内承認により、 小児希少疾患領域での新たな治療選択肢の提供が期待される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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