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聖路加国際病院 総合診療プログラム

83日前

急性膵炎ガイドライン2021:抑えるべきポイントと変更点まとめ (聖路加総診プログラム)


昨年度はいくつかの疾患では重要なガイドライン変更がありました. そのうちの1つ、急性膵炎ガイドライン2021について、 変更点や重大なポイントを確認しましょう.

Pancreatitis Bundles 2021 

急性膵炎診断時

  • 予後因子スコアを用いて重症度を繰り返し評価する.
  • (発症48時間以内)重症度に応じたモニタリングを実施する.
  • 初期には積極的な輸液療法を実施する.
  • 適切な期間、 疼痛のコントロールを行う.
  • 軽症例では、予防的抗菌薬は使用しない.

診断から3時間以内

  • 病歴、検査所見から膵炎の成因を鑑別する.
  • 造影CT Gradeで重症度判定を行う.
  • 重症急性膵炎では、適切な施設への搬送を検討.

診断から24時間以内

  • 予後因子スコアを用いて重症度を評価.
  • 胆石性膵炎:胆管炎合併、 横断など胆道通過障害があれば、 早期のERCP+ESTを検討.

診断から48時間以内

  • 予後因子スコアを用いて重症度を評価,
  • 重症急性膵炎では、 診断後48時間以内に経腸栄養を少量から開始.

診断から24〜48時間以内

  • 予後因子スコアを用いて重症度を評価.

2週以降

  • 感染性膵壊死の介入を行う場合には、 ステップアップ・アプローチを行う.
  • 胆石性膵炎で胆嚢結石を有する場合には、 膵炎沈静下後、 胆嚢摘出術を行う.

ポイント解説

死亡率の経時的変化

  • 急性膵炎致命率は年々低下しており、重症の場合2011年10.1%、 2016年6.1%であった.
  • しかし、 予後因子ならびにCT Grade共に重症例では、 いまだに死亡率が高く、今後は致命率の高い症例を適切に絞り込み、、 その予後を改善していく必要がある.

初期および経時的評価について

  • 入院時に軽症と判定されても、 後に重症化する例があり、 繰り返し予後因子スコアで重症度判定を行う.
  • さらに48時間後も増悪している例では、 それ以降も実施する.
  • 以前のバンドルでは繰り返しの造影CTグレードについて記載があった. 造影CTの施行メリットは大きいが、 脱水や腎機能低下をきたしている場合があり、 検査時期に関しては慎重に判断する形となった.

初期輸液について

  • 来院後4-6時間以内の超早期初期輸液が重要.
  • 初期4時間以内1L以上積極的に初期輸液を行うと、集中治療介入の必要性が低くなる.
  • 24時間以上(4.3L以上)、 積極的に初期輸液を行うと局所合併症のリスクが高くなる.

予防的抗菌薬について

  • 軽症例:予防的抗菌薬の有用性はない.
  • 重症例:2015年以降のRCTを追加してメタ解析を行った結果、 致命率・感染症合併率ともに有意な改善効果は認めなかった.
  • ただし、 胆石性膵炎で胆管炎を併発している場合は、 治療としての抗菌薬を使用する.

蛋白分解酵素阻害薬について

  • FOY、 フサン、 アプロチニンの投与には強固なエビデンスなく予後改善効果は証明されていない.
  • 蛋白分解酵素阻害薬や抗菌薬の動注療法の有用性も証明されていない.
  • H2ブロッカーやPPIのルーチン投与も不要.

栄養について

  • 重症膵炎では、1.5倍の代謝亢進状態となる.
  • 重症例における経腸栄養は、 エネルギー投与よりも腸管壁のintegrityを保つことによる感染予防としての意義が重要である.

ステップアップアプローチについて

  • 感染性膵壊死に対して、 低侵襲な(内視鏡的あるいは経皮的な)インターベンション治療(ドレナージ)から導入を行うこと.
  • 保存的治療で全身状態が保たれていれば、 被包化が起こる時期(発症4週以降)に低侵襲なインターベンション治療を行う.

参考文献

急性膵炎診療ガイドライン2021改訂出版委員会. 急性膵炎診療ガイドライン 2021[第5版] 



こちらの記事の監修医師
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聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

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