HOKUTO編集部
19日前
日本皮膚科学会は11月26日、 『速報版 重症多形滲出性紅斑スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症診療ガイドライン 補遺 2024』を公式サイト上のガイドラインコンテンツ内で公開したと発表した。
今回の補遺では、 「スティーヴンス・ジョンソン症候群 (SJS) の診断基準」 および 「中毒性表皮壊死症 (TEN) **の診断基準」 において、 「遅延型アレルギーではなく、 細胞障害性抗癌薬の薬理作用による皮膚障害」 が除外診断としてそれぞれ追加された。 また、 これに該当するクリニカル・クエスチョン (CQ) も記載された。
今回の補遺に至った背景として、 ⼀部の抗癌薬による⽪膚障害でSJS/TENと診断されたものの、 遅延型アレルギーではない症例が複数報告されているという。 たとえば抗Nectin-4抗体薬物複合体エンホルツマブ ベドチンの投与後は、 結合された微小血管阻害薬MMAEの薬理作用により表皮障害が誘導され、 重症例ではSJS/TEN に類似する臨床像を呈するが、 真のSJS/TENとは発症メカニズムが異なるため、 表⽪剥離をもって安易にSJS/TENと診断することは控えるべきであるとされている。
【SJSの診断基準 (2024)】
【TENの診断基準 (2024)】
1.広範囲に分布する紅斑に加え体表⾯積の10%を超える⽔疱・びらんがみられる. 外⼒を加えると表⽪が容易に剝離すると思われる部位はこの⾯積に含める(なお、 国際基準に準じて体表⾯積の10~30%の表⽪剝離は、 SJS/TENオーバーラップと診断してもよい)。
2.発熱がある。
3.以下の疾患を除外できる。
上記のほか、 近年の研究報告に基づいて、 「慢性期の眼後遺症に対する新しい治療はあるか?」 「SJS/TEN の新規予後予測スコアCRISTENは有効か?」 等のCQが追加された。
また、 「どのような病態がもたらすか?」 「発症リスクの高い薬剤はあるか?」 「ステロイドパルス療法はどのような場合に選択するか?」 「SJS/TENがDIHSとオーバーラップすることはあるか?」 等、 一部の既存CQおよび推奨文・解説・エビデンスが追記・修正された。
今回の補遺では、 表皮壊死の機序、 SJS/TEN治療のアルゴリズム (2024)、 SJS/TENの発症リスクと関連する遺伝子、 CRISTENの項目等における図表が新たに掲載されている。
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この疾患の治療に経験を積んだ臨床医チームにコンサルトすべき疾患である。
急性期にはプレドニゾロン換算で、 中等症は 0.5~1mg/kg/日、 重症例は1~2mg/kg/日、 最重症例はメチルプレドニゾロン500mg~1g/日(3日間)のパルス療法から開始し、 症状に応じて適宜漸減する。
SJSは皮疹部と口唇・外陰部粘膜の局所処置、 TENは熱傷に準じた治療を要することが多い。
補液・栄養管理による全身管理、 炎症反応抑制、 病変部からの感染予防、 厳重な眼科管理など。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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