概要
計算
監修医師

熱中症の重症度分類とは

  • 日本救急医学会熱中症分類2015では、 重症度に応じてI度、II度、III度と分類し、 それぞれの分類に応じて治療方針を示している¹⁾.
  • Ⅰ度は軽度の状態を指し、 従来の分類で言うところの熱失神、 日射病、 熱痙攣に相当する. Ⅱ度は中等症で、 熱疲労に相当する. Ⅲ度は従来の熱射病にあたる最重症の病状を想定している.
  • Ⅲ度は中枢神経症状、 肝・腎機能障害、 血液凝固異常などの臓器障害を呈するものである.

熱中症、熱射病 (heat stroke)について

  • 人体の体温設定は、 視床下部で調節されている.感染症に伴う「発熱」の場合はこの設定温度がリセットされる. 一方、 「高体温」は環境因子などの外的要因により、 設定温度は37℃のまま変化せず、 外部環境との熱交換が正常に機能しない結果として体温が上昇する異常な状態である.
  • 高体温になった場合に、 生体の恒常性を維持するために体温を下げるメカニズムが作用する. その作用自体が生体に影響を及ぼし、 皮膚末梢血管の拡張による相対的な脱水、 発汗による電解質異常などを引き起こす. 体温調整機構が破綻した場合には、 うつ熱状態となり、 深部体温が上昇して臓器血流が低下し、 ショック状態を引き起こす. この状態がいわゆる熱射病(heat stroke)である.

使用上の注意と注釈¹⁾

以下、「一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2015」より引用.

  • 暑熱環境に居る、 あるいは居た後の体調不良はすべて熱中症の可能性がある.
  • 各重症度における症状は、 よく見られる症状であって、 その重症度では必ずそれが起こる、 あるいは起こらなければ別の重症度に分類されるというものではない.
  • 熱中症の病態(重症度)は対処のタイミングや内容、 患者側の条件により刻々変化する. 特に意識障害の程度、 体温(特に体表温)、 発汗の程度などは、 短時間で変化の程度が大きいので注意が必要である.
  • そのため、 予防が最も重要であることは論を待たないが、 早期認識、 早期治療で重症化を防げれば、 死に至ることを回避できる.
  • 欧米で使用される臨床症状からの分類をに併記する.
  • 1度は現場にて対処可能な病態、 Ⅱ度は速やかに医療機関への受診が必要な病態、 Ⅲ度は採血、 医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要な病態である.
  • Ⅲ度は記載法としてⅢC,ⅢH,ⅢHK,ⅢCHKDなど障害臓器の頭文字を右下に追記
  • 治療にあたっては、 労作性か非労作性(古典的)かの鑑別をまず行うことで、 その後の治療方針の決定、 合併症管理、 予後予想の助けとなる.
  • DICは他の臓器障害に合併することがほとんどで、 発症時には最重症と考えて集中治療室などで治療にあたる.
  • これは、 安岡らの分類を基に、 臨床データに照らしつつ一般市民、 病院前教護、 医療機関による診断とケアについてわかりやすく改訂したものであり、 今後さらなる変更の可能性がある.

参考文献

一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2015

関連コンテンツ

熱中症

📘熱中症診療ガイドライン2015

🔢熱中症の重症度分類

🔢熱中症の暑さ指数WBGT

最終更新日:2022年7月9日
監修:HOKUTO編集部医師

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熱中症の重症度分類

日本救急医学会熱中症分類 2015
2023年11月23日更新
概要
計算

熱中症の重症度分類とは

  • 日本救急医学会熱中症分類2015では、 重症度に応じてI度、II度、III度と分類し、 それぞれの分類に応じて治療方針を示している¹⁾.
  • Ⅰ度は軽度の状態を指し、 従来の分類で言うところの熱失神、 日射病、 熱痙攣に相当する. Ⅱ度は中等症で、 熱疲労に相当する. Ⅲ度は従来の熱射病にあたる最重症の病状を想定している.
  • Ⅲ度は中枢神経症状、 肝・腎機能障害、 血液凝固異常などの臓器障害を呈するものである.

熱中症、熱射病 (heat stroke)について

  • 人体の体温設定は、 視床下部で調節されている.感染症に伴う「発熱」の場合はこの設定温度がリセットされる. 一方、 「高体温」は環境因子などの外的要因により、 設定温度は37℃のまま変化せず、 外部環境との熱交換が正常に機能しない結果として体温が上昇する異常な状態である.
  • 高体温になった場合に、 生体の恒常性を維持するために体温を下げるメカニズムが作用する. その作用自体が生体に影響を及ぼし、 皮膚末梢血管の拡張による相対的な脱水、 発汗による電解質異常などを引き起こす. 体温調整機構が破綻した場合には、 うつ熱状態となり、 深部体温が上昇して臓器血流が低下し、 ショック状態を引き起こす. この状態がいわゆる熱射病(heat stroke)である.

使用上の注意と注釈¹⁾

以下、「一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2015」より引用.

  • 暑熱環境に居る、 あるいは居た後の体調不良はすべて熱中症の可能性がある.
  • 各重症度における症状は、 よく見られる症状であって、 その重症度では必ずそれが起こる、 あるいは起こらなければ別の重症度に分類されるというものではない.
  • 熱中症の病態(重症度)は対処のタイミングや内容、 患者側の条件により刻々変化する. 特に意識障害の程度、 体温(特に体表温)、 発汗の程度などは、 短時間で変化の程度が大きいので注意が必要である.
  • そのため、 予防が最も重要であることは論を待たないが、 早期認識、 早期治療で重症化を防げれば、 死に至ることを回避できる.
  • 欧米で使用される臨床症状からの分類をに併記する.
  • 1度は現場にて対処可能な病態、 Ⅱ度は速やかに医療機関への受診が必要な病態、 Ⅲ度は採血、 医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要な病態である.
  • Ⅲ度は記載法としてⅢC,ⅢH,ⅢHK,ⅢCHKDなど障害臓器の頭文字を右下に追記
  • 治療にあたっては、 労作性か非労作性(古典的)かの鑑別をまず行うことで、 その後の治療方針の決定、 合併症管理、 予後予想の助けとなる.
  • DICは他の臓器障害に合併することがほとんどで、 発症時には最重症と考えて集中治療室などで治療にあたる.
  • これは、 安岡らの分類を基に、 臨床データに照らしつつ一般市民、 病院前教護、 医療機関による診断とケアについてわかりやすく改訂したものであり、 今後さらなる変更の可能性がある.

参考文献

一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2015

関連コンテンツ

熱中症

📘熱中症診療ガイドライン2015

🔢熱中症の重症度分類

🔢熱中症の暑さ指数WBGT

最終更新日:2022年7月9日
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