概要
計算
監修医師
本ツールは教育用コンテンツであり、実際の使用においては原著の注意事項を全て確認の上、 医師個人の判断でご利用ください

RECAM-J 2023とは?

2023年に本邦より公表された薬物性肝障害 (Drug-Induced Liver Injury;DILI) の可能性を評価するためのスコアリングシステムである¹⁾²⁾。

アメリカとスペインのDILIレジストリに基づいた新たなスコアリングシステムとして2022年に報告されたRECAM (a revised electronic version of RUCAM for the diagnosis of DILI) に基づき作成された。

計算項目¹⁾²⁾

RECAM-J 2023は、 ALTが基準値上限の5倍以上、 ALPが基準値上限の2倍以上、 ALTが基準値上限の3倍超かつ総Bil値が基準値上限の2倍超となるDILIを対象とし、 以下の5つのカテゴリーからスコアを算出する。

❶発症までの期間

投与開始または中止から肝障害発症までの日数に基づき最大±6点

❷肝障害発症後の経過

ALTやALP値の低下速度に基づき、 最大±6点

❸過去の肝障害報告

添付文書やPMDA³⁾、 LiverToxデータベース⁴⁾に基づく肝障害の報告により最大+3点

❹他の原因の除外

ウイルス性肝炎、 アルコール性肝障害などを除外し、 該当する場合は-6点

❺その他

再投与時の肝障害発症や肝生検結果で±6点

スコアの解釈¹⁾²⁾

8点以上 : 非常に可能性が高い

4~7点 : 可能性が高い

-3~3点 : 可能性が残る

-4点以下 : 可能性が低い

エビデンス

RECAM-J 2023の国内検討におけるAUCは、 非常に可能性が高い・可能性が高い診断について0.88と良好であった¹⁾²⁾。

使用上の注意点

RECAM-J 2023はDILI診断の可能性を評価するツールであり、 確定診断を提供するものではない¹⁾²⁾。 また、 アセトアミノフェンによる中毒性 DILI、 タモキシフェン等による特殊型 DILI に対してRECAM-J 2023を用いるべきではない¹⁾²⁾。

免疫チェックポイント阻害薬、 漢方薬・健康食品・自然食品・サプリメントによる DILI に対する RECAM-J 妥当性は今後の検討課題である¹⁾²⁾。

軽度の肝障害を呈する DILIに対する RECAM-J 2023の妥当性は今後の検討課題である¹⁾²⁾。

出典

1) RECAM-J 2023-Validation and development of the Japanese version of RECAM for the diagnosis of drug-induced liver injury. Hepatol Res. 2024 Jun;54(6):503-512. PMID: 38642343

2) 田中 篤 他. 薬物性肝障害スコアリングシステム-RECAM-J2023-. 肝臓 65巻10号 482-490, 2024.

3) PMDA の医療用医薬品情報検索

4) LiverTox -Clinical and Research Information on Drug-Induced Liver Injury-

最終更新日 : 2024年12月12日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

薬物性肝障害スコアリング(RECAM-J 2023)
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薬物性肝障害診断の可能性を評価
2024年12月12日更新
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RECAM-J 2023とは?

2023年に本邦より公表された薬物性肝障害 (Drug-Induced Liver Injury;DILI) の可能性を評価するためのスコアリングシステムである¹⁾²⁾。

アメリカとスペインのDILIレジストリに基づいた新たなスコアリングシステムとして2022年に報告されたRECAM (a revised electronic version of RUCAM for the diagnosis of DILI) に基づき作成された。

計算項目¹⁾²⁾

RECAM-J 2023は、 ALTが基準値上限の5倍以上、 ALPが基準値上限の2倍以上、 ALTが基準値上限の3倍超かつ総Bil値が基準値上限の2倍超となるDILIを対象とし、 以下の5つのカテゴリーからスコアを算出する。

❶発症までの期間

投与開始または中止から肝障害発症までの日数に基づき最大±6点

❷肝障害発症後の経過

ALTやALP値の低下速度に基づき、 最大±6点

❸過去の肝障害報告

添付文書やPMDA³⁾、 LiverToxデータベース⁴⁾に基づく肝障害の報告により最大+3点

❹他の原因の除外

ウイルス性肝炎、 アルコール性肝障害などを除外し、 該当する場合は-6点

❺その他

再投与時の肝障害発症や肝生検結果で±6点

スコアの解釈¹⁾²⁾

8点以上 : 非常に可能性が高い

4~7点 : 可能性が高い

-3~3点 : 可能性が残る

-4点以下 : 可能性が低い

エビデンス

RECAM-J 2023の国内検討におけるAUCは、 非常に可能性が高い・可能性が高い診断について0.88と良好であった¹⁾²⁾。

使用上の注意点

RECAM-J 2023はDILI診断の可能性を評価するツールであり、 確定診断を提供するものではない¹⁾²⁾。 また、 アセトアミノフェンによる中毒性 DILI、 タモキシフェン等による特殊型 DILI に対してRECAM-J 2023を用いるべきではない¹⁾²⁾。

免疫チェックポイント阻害薬、 漢方薬・健康食品・自然食品・サプリメントによる DILI に対する RECAM-J 妥当性は今後の検討課題である¹⁾²⁾。

軽度の肝障害を呈する DILIに対する RECAM-J 2023の妥当性は今後の検討課題である¹⁾²⁾。

出典

1) RECAM-J 2023-Validation and development of the Japanese version of RECAM for the diagnosis of drug-induced liver injury. Hepatol Res. 2024 Jun;54(6):503-512. PMID: 38642343

2) 田中 篤 他. 薬物性肝障害スコアリングシステム-RECAM-J2023-. 肝臓 65巻10号 482-490, 2024.

3) PMDA の医療用医薬品情報検索

4) LiverTox -Clinical and Research Information on Drug-Induced Liver Injury-

最終更新日 : 2024年12月12日
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